介護施設の入居にまつわる不安・リアルな声をもとに施設選びのポイントを専門家が解説「求人情報も参考になる」
環境変化による身体への影響
・環境が変わることで、身体状況が悪化したり、歩けなくなったりしないか。 ・毎日、室内の生活で刺激がなく認知症が発症することはないのか。 生活の場が変わると、気持ちもナーバスになり体調を崩すのではという心配の声が多くありました。
入居後に実際に払う費用
・月額費用の目安は把握しているが、その他にも細かな費用がかかりそうで不安。 ・事前に予定していた額よりも高くなるケースのほうが多いと聞いた。 実際には、備品代や消耗品代は別途自己負担となり、想定していた金額より多くなることがほとんどです。具体的なケースだと、介護付き有料老人ホームに入居した女性は、月々の年金額に+10万円を貯蓄から切り崩しているとのこと。入居当初は余裕と思っていたが、長生きすればするほど、払えるのかという不安が募っていったといいます。
介護施設の閉鎖や倒産
・介護施設の倒産が増えているニュースを見たが、大丈夫なのか。 ・不祥事で経営自体が別の法人になることもあるらしいが、運として割り切るしかないのか。 実際、東京都足立区にある住宅型有料老人ホームで、職員が一斉に退職するというニュースが報じられました。理由は給料の未払いとのこと。その後、この法人が運営している別の介護施設が他の法人に引き継がれたことが続報として出ています。 この足立区の介護施設は、約1年前の2023年10月にオープンしたばかりの比較的新しい老人ホームです。定員187床のうち入居率は約半数の90名前後、月額費用も11万円弱と東京都の有料老人ホームの中では最低価格帯とも言えます。 介護施設は、利用者単価×稼働率が収益となり、それぞれの数値が高いほど、収益は大きくなり、低い場合は経営状態が良くないと考えられます。
介護施設を選ぶ際の3つの重要なチェックポイント
不安をすべて解消することは難しいですが、事前に少しでも不安材料を減らしておくために、施設選びの際に役に立つポイントを解説していきます。 【1】重要事項説明書をチェック 重要事項説明書とは、契約内容のうち、特に重視すべき事項をまとめた書類です。ここには、施設について知っておくべき情報がのっています。自治体や各施設のホームページで公開されている場合もあります。記載内容のうち、上記の不安に対するチェックポイントを確認してみましょう。 □ 施設職員の対応に関して不安がある場合は、「職員体制」を確認してみましょう。 5年から10年以上勤務している職員が多いようなら、安定した環境ということです。ベテランの職員が多いと家族も安心です。 □ 入居後の生活や環境の変化に不安がある場合は、「入居者の状況」の項目を確認してみましょう。 年齢・要介護度別の人数から、自身と年齢や介護度と比較してかけ離れていないかも確認できます。前年度退去者数からは死亡以外の退去の理由も確認してみましょう。トラブルでの退去か否かも参考になります。 □ 費用に関しての不安は、「利用料金」の項目を確認しましょう。食費や管理費といった月額費用や食費、水道光熱費なども記載されているので、必ず目を通しておきましょう。 □ 介護施設の経営に関する不安は、「事業主体概要」の項目を確認しましょう。 ここには、施設を運営する法人の概要がのっています。会社設立の年月日からはどのくらい継続して運営できているかの確認ができます。 【2】介護サービス情報公表システムをチェック 介護サービス情報公表システムは、厚生労働省が公開しているもので、全国約21万か所の「介護サービス事業所」の情報が検索・閲覧できます。 ■介護サービス情報公表システム https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/readme/ 公表されている介護施設や事業所は、直近の事業所情報を都道府県に報告し、都道府県が内容を審査、そしてホームページに事業所情報を掲載する流れとなっています。 また、事業所の報告内容を確認するため、都道府県知事が調査を行う必要があると認める場合には、都道府県又は都道府県が指定した調査機関による訪問調査を行うこととなっています。ここに掲載されているところは、第三者の目が入るので多少は安心ではないでしょうか。