250ccビジネス車、スーパーバイカーズ、オフロードスクーター…80年代後半の「異色ジャンルバイク」グラフィティ
■カワサキ KS-I&KS-II(1988年1月発売)「お手軽にレース気分を味わえた!? 小排気量スーパーバイカーズ」 これまで新カテゴリーの模索で目立った動きのなかったカワサキが、小排気量クラスで提案したのがスーパーバイカーズレプリカ。TDR250の説明でも紹介したように、発想の元はアメリカのスーパーバイカーズレース。 この雰囲気をもっと手軽なサイズで楽しんでもらおうと企画され、エンジンはAR50/80系がベースの空冷2スト単気筒(最高出力はI=7.2ps、II=9.2ps)を、新開発のセミダブルクレードルフレームに搭載。これに前後10インチホイールを履いてミニ版スーパーバイカーズを演出し、レジャーバイク的にも愛される方向をねらった。 その後ヤマハが水冷エンジンのTDR50/80を投入すると、カワサキは1990年に水冷2ストのKSR-I/同IIを発売。このKSR系は後に4ストエンジンに転換して長寿モデルになったが、これに追随するメーカーはなかった。価格はKS-I=18万3000円、KS-II=19万5000円。 ■TDR50/80(1988年7月、9月発売)「水冷エンジンを引っ提げて追随したスーパーバイカーズ・ミニ」 カワサキKS-I/IIの登場後、同じくスーパーバイカーズを意識して登場した同車。特にTDR50では、当時隆盛していたミニバイクレースMP12シリーズへの参戦へ誘うなど、公道以外での遊びも提案したものの、後発のカワサキKSR-I/II(1990年)の前に苦戦。モデルは一代限りで終焉。RZ系の水冷エンジンは最高出力7.2ps(50)、10ps(80)で、価格は22万9000円(50)と24万9000円(80)。 なお、一時期隆盛の兆しがあったスーパーバイカーズ系は、数年後に欧州発祥のスーパーモタードカテゴリーに取って代わられた。こちらはスーパーバイカーズからダートトラックを抜いたロードとモトクロスのミックスレースで、車高の高いモトクロッサーをベースに17インチを履かせたモデルが主流。1990年代後半の国内メーカーもカワサキDトラッカーを筆頭に各社からモタード系モデルが発売された。 TDRならではの特徴はフレームマウントのハーフフェアリング。250とも共通のイメージでTDRミニの世界をアピールするも、後に水冷エンジン化と12インチ化で登場したKSRに軽さとコンパクトさ、そしてスーパーバイカーズっぽさなどで人気を奪われ、TDRは1990年を過ぎて間もなく生産終了。 まとめ●モーサイ編集部・阪本 写真・カタログ●八重洲出版アーカイブ