DISH//、メンバー全員主人公タイプで大ゲンカもある⁉︎ TVアニメ『逃げ上手の若君』OP曲で手にした「逃げてもいい」価値観がバンドをアップデート
ずっと逃げていることが正義でいい
――曲作りをする上で考えた『逃げ上手の若君』のイメージは、具体的にどういうものでしたか? 北村 『週刊少年ジャンプ』の作品で逃げることに特化した漫画はなかったと思うし、それでいてバトルシーンには『週刊少年ジャンプ』らしい熱さもあり、仲間とのつながりも描かれていて、弱さも持つ主人公に感情移入もできて。歴史的におもしろいところを切り取っているのも新しくて、歌詞がどんどん湧いてきましたね。 ――歴史好きの矢部さんとしては、『逃げ上手の若君』をどう受け取りましたか? 矢部昌暉(以下、矢部) まず「そこをやるんだ」って思いました(笑)。その時代だと足利尊氏が圧倒的に注目されるし、北条氏でも、大河ドラマで主人公だった北条義時とか、教科書で習う北条時宗がまず思い浮かびますよね。だから、この作品で初めて北条時行という名前を知った方もたくさんいらっしゃると思うんです。 「逃げる」を武器に戦うのも意外だったけど、読めば、「逃げるって間違ったことじゃないんだ」っていうことがすごくよくわかるんですよね。松井(優征)先生特有のギャグと伝えたいことのバランスが絶妙で、本当におもしろい作品だと思いました。 ――『プランA』という曲のタイトルに込めた意味は? 北村 「逃げることが第一の作戦でいい」ということです。この作品はアクションシーンもかっこよくて、「ずっと逃げていることが正義でいいんだ」と思えるんです。 僕も子どもの頃から逃げることは恥だっていう考え方を植え付けられてきた感覚があるんですけど、逃げることが大事な瞬間もある。 逃げることがプランBじゃなくてプランAでもいいという意味です。
DISH//のメンバーは全員ルフィ
――漫画やアニメが価値観やアイデンティティに影響を与えていると思うところはありますか? 北村 いろんな漫画やアニメを見て育ちましたから、知らず知らずのうちにアイデンティティのひとつになってると思います。仲間の大切さとか、いろんな価値観を少なからず漫画やアニメから学びましたね。 ――「逃げちゃダメだ」っていう考え方もアニメから学んでるかもしれないですね。 北村 だからこそ『逃げ上手の若君』は斬新ですよね。主人公は逃げない、何度でも立ち上がるっていうのが定石だから。 僕も何度もそういう漫画のキャラクターを演じて、何度も立ち上がってきたんですけど。僕らをきっかけに『逃げ上手の若君』を観る人や、「逃げたいけど、逃げるなって言われてきたしな……」っていう人に、「そんなことからは逃げていいよ」と伝わればうれしいですね。僕らも、今回のタイアップで価値観がアップデートされました。 ――矢部さんは特に影響を受けた作品はありますか? 矢部 僕は『ワンピース』が好きなんです。僕らって、やりたくないことは本当にやらなくて、やりたいことだけをやるんです。全員、ルフィなんですよ。それに僕らずっと精神年齢が高校生で止まってるんです(笑)。そういうところも、今まで触れてきた作品とリンクするなと思いますね。 北村 すごくおこがましいですけど、僕ら、いろんな漫画の主人公が集まったみたいな脳みそなんです(笑)。脇役的な考え方の人がいなくて、みんな頑固だから、たとえば「今回のMVどうする?」っていうことを決める会議は、大体長くなります。みんな「俺はこうだ」っていう意見があるからおもしろいですね。
【関連記事】
- 『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』担当編集が語る堀越耕平のスゴさと原作完結に向けて「一番すごいところ」と思うこと
- 《X JAPANに再始動の予感》HEATHの後釜は誰? Toshlとの関係は?…YOSHIKIが立ち向かう絶望的な課題
- すべては「銀河鉄道999」から始まった。アニソンがヒットチャートを席巻するまで
- 「チケット代は22万円」「服装は超ミニのプリーツスカートで…」日本とこんなに違う、多様すぎるアメリカの音楽フェス事情!
- 〈3000円で買ったTシャツが30万円超のお宝に〉レコードに続いて「ロックTシャツ」も値上がり中…古着屋店主が明かす人気の秘訣と、今後値上がりが予想されるアイテム