長崎放送、福島で「低線量被ばくが横たわる」と報道。記事の一部を削除も、ミスリードの恐れ。取材への回答は
削除された箇所は?
NBCは、「《低線量被ばく》が横たわる福島」と記述し、放射線被ばくによる健康被害は認められていないことを示す科学的な根拠を記事で紹介していないが、「福島の低線量被ばくによる健康被害の有無については言及していない」や「ご指摘は報道の趣旨と異なる」などと回答した。 また、回答に「裁判等でも低線量放射線被ばくによる人体影響を巡る議論が収束していない」と記載しているが、もし甲状腺がんに関する裁判のことを指しているのだとすれば、過剰診断の問題やUNSCEARの報告書についても触れるべきだ。 さらに、NBCは「誤解や不安を与えることは本意ではない」と、記事の一部を変更したという。ハフポストが確認すると、記事は「一部変更」の範囲ではなく、見出し、小見出し、名誉教授コメントの一部が多く削除されていた。 ハフポストの指摘後に削除された記事の記述(Yahoo!ニュース上)は次の通りだ。 ①見出し「福島原発事故とも絡む被爆体験者の救済 波紋呼ぶ“低線量被ばく”の評価 長崎」の「福島原発事故とも絡む」の記述を削除 ②小見出し「福島原発事故とも絡む“低線量被ばく”の評価」の「福島原発事故とも絡む」の記述を削除 ③高辻名誉教授のコメント「権威ある先生達が『低線量の放射線は別に健康影響ないよ』と言われたら、そうかなと。逆に『健康影響があるよ』ということを言うと、原子力発電所に恩恵を受けている人達に攻撃される。損害を被るから『影響ないんだね』と言う方に加わっておいた方が暮らしやすいと、そういうことですよね。一人一人が社会の状況を知ることができるか、あるいは知らせることができるかが課題かなと思います」の記述全てを削除 ④「《低線量被ばく》が横たわる福島とも絡み合う被爆体験者問題」の記述を削除 このように、ハフポストの取材に対してはミスリードの可能性などを認めなかったが、福島に関わる表現の多くを削除していた。 NBCの記事を受け、ハフポストは福島県にも取材。県民健康調査課の担当者は「長崎放送の記事には直接言及しない」としつつ、参考情報として次のように話した。 「原発事故後の4カ月間の行動記録から外部被ばく量を推計した基本調査が行われているが、健康影響が出るとされる100ミリシーベルトを超える人はいなかった」 実際、2011年3月11日時点の県内居住者ら約205万人を対象とした基本調査が行われているが、回答者(放射線業務従事経験者と推計期間が4ヶ月未満の人を除く)のうち、99.8%は5ミリシーベルト未満で、最大値は25ミリシーベルトだった(2023年3月末現在)。 担当者はその上で、「現時点では放射線の被ばくによる健康被害は認められておらず、今後の健康影響は考えにくいと評価されていると承知している」とした。