JR西、脱線事故の事故車両保存施設を非公開方針 遺族らに説明
乗客ら107人が死亡、562人が負傷した2005年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故に関し、JR西日本は9日、遺族や負傷者らを対象にした説明会を兵庫県宝塚市などで開いた。参加した遺族ら65人に対し、来年12月ごろに大阪府内に完成予定の事故車両の保存施設について、原則一般公開しない方針が改めて説明された。 【写真】JR西日本本社=大阪市北区 保存施設の一般公開を巡っては遺族や負傷者の間でも意見が分かれており、JR西は今夏、非公開方針を遺族らに文書で伝えていた。長谷川一明社長は説明会後の会見で、遺族らの中には、事故車両を今もつらくて見ることができない人もいて、「興味本位に見られたくない」「SNSで拡散されたら耐えられない」などの声があることに言及。非公開とした理由について「つらい気持ちや悲痛な思いの方々もいることを非常に重く受け止めた」と説明した。 一方、長谷川社長は、事故の風化を防ぐために一般公開を求める遺族らがいることにも言及。将来的な施設の一般公開については「事故の事実を社会に伝えることは重要で、施設の公開はその方法の一つになり得る。被害者の意見を伺いながら、引き続きの検討課題としたい」と述べた。 施設は大阪府吹田市にある社員研修センターの隣に建設中だ。来年12月ごろに完成した後は、遺族らに限定公開し、社員研修にも使う予定だという。説明会は10日も開かれる。(瀬戸口和秀、原野百々恵)
朝日新聞社