【番記者の視点】川崎、布陣を変えて役割明確化…連敗ストップから巻き返しへ
◆明治安田J1リーグ第5節 川崎3―0FC東京(30日・U等々力) 【川崎担当・田中孝憲=@sph_tnk】川崎が連敗を3で止めた。今季初の完封勝ちには、システム変更による、選手の役割明確化があった。FC東京戦はそれまでの1アンカーの4―3―3から4―2―3―1と2ボランチに変更。鬼木達監督は試合後の会見で「ここまでの戦いから考え、システムも含めて考えなければならないとに至りました。システムだけではなく、自分たちが本来目指しているものを出せる状況をどうやって作りあげていくかも考えながらの形」と説明した。 布陣変更で、特長を最も生かせたのは左サイドバックのDF三浦颯太だろう。試合後のミックスゾーンで見せた表情は、これまで最も明るかった。1アンカーの時は、誰がいつ奪いにいくのか、迷いが見られることもあった。またスライドして3枚で守るなど、前に行きづらく自身の突破力を生かせないでいたが、吹っ切れた一戦にもなったのだろう。 この日はこれまでよりも高い位置を取り、攻守に積極性を生かした。先制点はその三浦から生まれた。左サイドを突破し上げたクロスが相手DFに当たり、左ポストを直撃。「狙い通りの形ではなかったですけど」と苦笑いしつつ「ヤスくん(=脇坂泰斗)が詰めてくれたので」ちゴール前に詰めていたMF脇坂が跳ね返りを押し込んで1点をもぎ取った。押し気味に試合を進めていたが、この先制点がチームにもたらしたものは大きかった。 前線からの守備という点でも脇坂はシステム変更の利点について説明する。 「まず切り替えのところ。4―3―3だと、奪われた後、例えば1本(相手のボールが)繋がった時にウィングが出るのか、インサイド(ハーフ)が出るのか。あとはFWが2度追いするのか」 迷いのようなものがありお互いが整理できていなかった。だが、 「4―2―3―1だと僕とエリソンがセンターバックに行ったり、ボランチにパッキングしたりと、役割が整理された」 切り替え時も、迷いなくできるようになった。 これまで1アンカーはMF橘田やMF山本らが務めてきたが、負担がかかりすぎているように見えた。この日、瀬古と橘田の2ボランチは、中盤で相手のボールを刈り取りにいく形が格段に増えた。これまでは、失点を恐れるあまり積極的になれなかったように見えたが、FC東京戦はリスクを冒して前に出て行った。最終ラインともしっかり連携を取りシュート体勢に入らせない。相手攻撃陣を後半シュート0本に完全に封じる、まさに“完封”だった。 同時にこの試合では、選手の気迫もすさまじかったことを記しておきたい。受けるのではなくボールを奪いにいく姿勢に、フロンターレの誇りを感じた。ユニホームの胸に輝く星に恥じないプレーをこの日は見せられた。サポーターは一安心と同時に、大満足の勝利だったと思う。次戦は近年覇権を争い続けてきた横浜FM戦。手にした自身を武器に、日産スタジムへ乗り込む。
報知新聞社