天然の方がおいしい?…淡水魚、生で食べると発がん性物質グループ1=韓国
慶尚北道(キョンサンブクド)在住の50代A氏は、家の近くの川で週末ごとに釣りを楽しんだ。釣った淡水魚をその場で刺身にして食べるのがA氏の長年の楽しみだった。A氏の子供たちは「寄生虫に感染する恐れがある」と言って止めたが、A氏は「生涯食べてきたが何も問題なかった」と言って自分で釣った淡水魚の生食を楽しんだ。そうするうちに、昨年A氏は町内の保健所の勧めで受けた腸内寄生虫検査で、肝吸虫症と診断された。肝吸虫に感染した状態だったが、これといって症状はなかった。放っておけば、がんにかかる可能性があると聞いてA氏は急いで寄生虫治療を受けたが、後遺症を心配することになった。 韓国国内でA氏のように肝吸虫などの腸内寄生虫に感染した人は少なくない。天然の淡水魚を生で食べる食習慣が感染の主な原因に挙げられる。 全国的な腸内寄生虫調査は2013年が最後だった。1971年、初の全国腸内寄生虫感染実態調査で84.3%、国民10人のうち8人以上が腸内寄生虫に感染したことが分かった。この数値は、国家的な駆虫事業と衛生環境が良くなり、調査を重ねるごとに急減し、最後の2013年の調査では2.6%まで下がった。しかし、依然として一部の地域では感染率が高い。 29日、疾病管理庁によると、昨年、国内の5大河川〔蟾津江(ソムジンガン)・洛東江(ナクドンガン)・栄山江(ヨンサンガン)・錦江(クムガン)・漢江(ハンガン)〕流域の住民3.7%が腸内寄生虫に感染した状態だった。 疾病管理庁が腸内寄生虫流行地域の5大河川流域の保健所と協力して36の市・郡住民2万6408人を対象に感染率を調査した。保健所が検体を収集し、韓国健康管理協会は肝吸虫など11種の感染を診断、疾病管理庁が検査結果を確認・分析した結果だ。 感染率は直前3年間5%台を維持したが、それでも昨年大幅に下がった。20年前は14.3%に達していた感染率が、地道な管理事業で4分の1水準に減少した。 全般的な数値は良くなったが、蟾津江流域の全羅南道光陽市(チョルラナムド・クァンヤンシ、12.3%)・慶尚南道河東郡(キョンサンナムド・ハドングン、8.9%)・全羅南道求礼郡(クレグン、6.7%)と洛東江流域の慶尚北道永川市(ヨンチョングン、5.4%)・浦項市(ポハンシ、5%)などは腸内寄生虫感染率が高いことが分かった。特に、肝吸虫の感染率は、洛東江流域の住民から高かった。浦項市(5%)が最も高く、慶尚北道青松郡(チョンソングン、4.7%)、永川市(3.4%)が後に続いた。 腸内寄生虫は栄養欠乏や消化障害を起こす。ひどい場合は臓器の損傷と敗血症につながる。肝吸虫が最も危険だ。肝臓で作られた胆汁を十二指腸に移す管にがんを起こすことが確認された。 2009年、世界保健機関(WHO)は、肝吸虫を発がん性物質グループ1に指定した。国立がんセンターの2016年の分析によると、国内の肝吸虫感染流行地域で胆管がんの発生率が相対的に高かった。胆管がん(胆のうおよびその他の胆道がん)は5年の生存率が25.3%に過ぎない恐ろしいがんだ。肝吸虫の感染を避けるだけでも、がん発生のリスクを下げることができる。 忠北(チュンブク)大学医学部のチェ・ソンジュン教授は「肝吸虫感染を避けるためには天然の淡水魚を絶対に生で食べてはならない」と述べた。チェ教授は「肝吸虫は被のう幼虫の状態では胃酸にも溶けないし、キムチの汁に漬かっていても死なない」とし、「淡水魚を調理した包丁・まな板でセリやキムチを切って食べると交差感染が起こる可能性があり、衛生に注意しなければならない」と述べた。 池栄美(チ・ヨンミ)疾病管理庁長は「最近、腸内寄生虫感染率が減少したのは幸いなことだが、天然淡水魚の生食習慣が主な原因の食品媒介寄生虫感染は依然として残っている。積極的に保健所と協力して感染を予防し、監視システムをさらに強化する」と述べた。