どうなる阪神のFA人的補償! 渦中の鳥谷はプロテクト、流出阻止へ
阪神がオリックスからFAで糸井嘉男外野手(35)を獲得したがオリックス側が人的補償を求める方針を固め、高額のベテラン選手がプロテクトされない場合、躊躇せずに獲得に向かうことを明らかにしたため28人に誰がプロテクトされるかに焦点が集まっている。今季の推定年俸、2億8000万円の糸井は、Bクラスに相当すると見られ、オリックスは人的補償プラス年俸の40%の金銭を阪神に求めることができる。 オリックス側が具体的に名前を挙げたことで注目されたのが鳥谷敬(35)。今季は不振に陥り、7月24日の広島戦で5年ぶりにスタメンを外され、スタメン出場は115試合で、打率.236、7本、36打点、12併殺の成績に終わっていた。プロ13年目にして最低の打率だ。ショートのポジションは北條史也(22)に奪われ、鳥谷が、1年4億とも5億とも言われる巨額な複数年契約を残り3年も残していることから、阪神サイドはオリックスが手を出してこないだろうと、たかをくくってプロテクトから外すことが予想された。 オリックス側の発言を“ブラフ”だとする見方もあったが、この日までに、球団サイドは最悪のケースを危惧して鳥谷をプロテクトする方向を定めた。 鳥谷に関してはシーズン中から“総帥”坂井オーナーが、その状態を気にかけていた。今季は結果が出なかったが、トレーニングを含めた野球に取り組む姿勢が若手の手本になっていて、本社サイドも将来の幹部候補として鳥谷を高く評価している。今季はスタートから首脳陣との“ボタンの掛け違い”もあって不振に陥ったが、球団サイドの鳥谷に対する評価は変わっておらず、“生え抜きの幹部候補”をオリックスに奪われるわけにはいかないという結論に達した。プロテクトは、当然といえば当然。しかも通算2000本安打に残り128本に迫っていて、鳥谷が本来の調子を取り戻せば、来季中の達成も間違いない。2000本のメモリアルイヤーを阪神で達成させたいとの意向もある。 金本監督も鳥谷の復調に大きな期待をかけていて、22日に行われた球団納会の前にホテル内で鳥谷と極秘会談の時間を持った。ポジションも含めた鳥谷の来季に対する考えを聞き取り、金本監督も本音をぶつけた。FAで糸井を補強したが、鳥谷が復調に成功すれば、それこそが最大の補強となる。この極秘会談の開催も、渦中の鳥谷がプロテクトされる決定打となった。 ただ28人と限られた人数の中で、ベテラン勢を全員プロテクトするわけにはいかず、投手では左腕の岩田稔(33)、中継ぎの安藤優也(39)の2人は外されると見られる。また野手では、アキレス腱故障から再起を目指す西岡剛(32)も微妙だ。まだ明確な復帰目処が立たず、契約には数多くのインセンティブが絡んでいるため、内野手&左投手にターゲットを絞るオリックスサイドも、そういうリスクのある西岡には手を出さないと考えられているが、プロテクト問題での最大の焦点は鳥谷から西岡に移りそうだ。 糸井の契約締結がコミッショナー公示されてから2週間以内に、阪神はプロテクトする28人を除くリストを提出しなければならないことになっている。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)