「世界最大のシンクタンク」OECDで岸田首相が演説へ…イチから分かるOECD首相演説の狙い
岸田首相は、5月2日にフランス・パリを訪問し、OECD=経済協力開発機構の会合に出席し、議長国としてスピーチを行います。その狙いを解説します。
■そもそもOECDって何?「世界最大のシンクタンク」
OECDは、38か国が参加する経済成長、開発援助、貿易拡大を目的とする国際機関です。OECDは経済や社会の共通の課題について、調査分析・解決策の提言を行い、国際的なルールを作る機関で、「世界最大のシンクタンク」とも呼ばれています。 ことしは日本にとって、加盟60周年にあたることから議長国となり、岸田首相は、年に一回開かれる最も重要な閣僚理事会の開会式で基調演説を行います。
■OECDの課題 先進国中心の"お金持ちクラブ"の限界
OECDの現状について、ある外務省幹部は「OECDはもともとは、ヨーロッパ中心の"お金持ちクラブ"だった。世界の実態はどんどん変わり、今やOECDだけでは世の中、動かせなくなっている」と指摘しています。 OECDの加盟国38か国は、欧米が中心で、アジアはわずか2か国、日本と韓国に限られています。 中国など非加盟国の影響力が増す中、新興国の取り込みは重要で、日本としては、東南アジアへのアウトリーチの重要性を訴えてきました。
■10年前"岸田外相"が種まき 「東南アジアの取り込み」の重要性訴える
日本が、加盟50周年で議長国を務めた2014年には安倍首相(当時)が基調演説を行い、岸田首相は、当時、外相として参加しました。 その時、日本が立ち上げたのが「東南アジア地域プログラム」で、OECDと東南アジア諸国がルールやスタンダードを共有することをめざし連携強化をはかるものです。 岸田首相は、この「東南アジア地域プログラム」で演説する予定ですが、10年間の成果として、インドネシアやタイが加盟に向け動き始めていることなどにふれ、さらなる東南アジアとの連携強化を訴えるものとみられます。 さらに、グローバルサウスとの連携強化の重要性についても触れ、OECDの未来像を話すものとみられます。
■生成AI国際ルール作りの議論のため国際的な枠組み「広島AIプロセス フレンズグループ」の創設
岸田首相は、これまで生成AIについて活用と規制に向けた国際ルールの整備の必要性を訴え、議論をすすめてきました。 去年5月、G7広島サミットで生成AIの国際ルール作りを議論する「広島AIプロセス」を提唱し、去年12月には基本的な方針で一致し、初めての国際合意をまとめました。 今回、岸田首相は、G7が合意した「広島AIプロセス」の更なる拡大のため、新たな国際的枠組み「広島AIプロセス フレンズグループ」を立ち上げ、OECD加盟国などに参加を呼びかけることにしています。