インタビュー鈴木宗男氏に聞く(全文1)領土問題「現実的な解決しかない」
4島一括返還はソ連時代の日本政府の方針
――北方4島返還については歴史を見ていくと、2島先行が言われたり、4島一括が言われたり、さまざまな意見が出ていましたが、2001年のイルクーツク声明など、4島の帰属問題解決を進めていくということについて、具体的にご説明いただけますか。 「これは正確を期さなければいけません。私は2島先行返還、と言ったことはないんです。北方4島の問題がある。この4島を話し合いで解決、ということは日本とロシアで約束されている。じゃあ4島を解決するにはどうしたらいいか、最初に4つ返せと言ったら、ロシアは話に乗ってこないんです。」 「まずは、1956年、平和条約締結の後には、歯舞群島と色丹島は日本に、ロシアの善意でお返しをいたします、引き渡す、というのが正確な表現です。よく返還という人がいますけれど、それは勉強していない人の言いぶりです。あの共同宣言ではソ連の善意で引き渡す、これが正確な文言なんです。」 「プーチン大統領になってからは、この1956年宣言は、日本の国会も批准している。当時のソ連の最高会議、今のロシアの国会でありますが、ここも批准している。法的拘束力のある約束義務だと言ってくれている。それならばまず2つもらう。残り2つもロシアに帰属するか、日本に帰属するか、話し合いで解決しましょう、となっているから、しっかりと得るものは得て、次に日本にとって、国後・択捉をどうするかの判断をした方がいいというのが、私の考えです。ここは正確に、ぜひともご理解いただきたい。」 「それともう一つ、4島一括返還、という表現は、これは皆さん方も少し勉強していません。それはソ連時代の話です。共産主義ソ連は、領土問題はなし、というから、当時の日本国政府の方針は4島一括返還なんです。その上に、即時とつけた。これは平成3年の夏で終わっているんです。平成3年12月、ソ連が崩壊して、自由と民主のロシアになってから、日本国政府は4島一括という旗は降ろして、4島の帰属の問題を解決して平和条約。4島の帰属が確認されれば、島の返還時期は差があってもいいですよ、柔軟に対応しますと、政府は方針転換したんです。」