《ブラジル》切断された右腕を奇跡的に接合=事故現場でまさかの好意の連鎖
リオ市で6日夜、路線バスが高架橋で横転し、乗客26人が負傷する事故が発生。犠牲者の1人、8歳のダヴィ・ジオヴァニ・ギマランイス君は右腕を切断され、重篤な状態で病院に搬送されたが、5時間以上にわたる再結合手術が奇跡的に成功した。手術を担当した外科医によると、ダヴィ君を病院に運んだバイクタクシー運転手のジエゴ・メンデスさん(32歳)の迅速な対応や現場の人たちの機転が手術の成功に大きく寄与したという。22日付G1などが報じた。 事故は午後10時20分頃、同市北部のサンクリストヴァン地区で起こった。目撃者によると、バスはかなりスピードが出ていたといい、高架橋から降りる際にコントロールを失って横転した。 この時、現場を偶然通りかかったジエゴさんが、バスから出てくるダヴィ君と母親を目撃した。「少年を見るとすでに腕がなかった。絶望と混乱のその瞬間、私が唯一望んだのは、彼をバイクに乗せて最寄りの病院へ急ぐことだった」と話した。 母親のアパレシーダさんは「この時ダヴィは、泣きじゃくる私に向かって『ママ、早く病院へ行こう』と言ったんです。この子は私よりずっと強かった」と振り返った。 母子は現場から1・5キロほど離れた救急病院に運ばれた。この距離の短かさはダヴィ君を助ける上で非常に重要な要因となった。加えて事故現場の向かいでバーを経営しているパトリシア・ブリットさんはダヴィ君の千切れた腕を見つけ、氷の中に入れて保冷バッグに保存した。 ジエゴさんはダヴィ君にお願いされ、バスに乗っていた愛犬パンドラを迎えに事故現場に戻った。無事にパンドラを見つけて友人に託した後、パトリシアさんからダヴィ君の腕を託され、再び病院へ戻った。 手術を担当したルドルフ・ヌーネス医師は「もう少し遅かったら、残念ながら実現不可能だった」と言う。腕は肩の少し下で切断されており、「腕は水と氷の入ったビニール袋に適切に保存されていました。もし直接氷に触れていたら凍ってしまっていたでしょう」と説明した。切断された部分は冷却なしで最大2時間、ビニールで包んで水と氷で保存しておけば最大6時間持つ可能性があるという。 再接合手術は5時間以上にわたって行われ、外科医は患部を最大40倍に拡大できる高精細顕微鏡を使用し、髪の毛よりも細いナイロン糸を使って血管と動脈の再建を行った。医師は「腕の機能を最大限に回復させるため、今後も補助的な処置を行なっていきます」と説明した。 ダヴィ君は現在、自分で食事ができるまで回復している。アパレシーダさんは「とても順調に回復しています。もうすぐ家に帰れると聞いています」と嬉しそうにコメントした。