【社説】韓国石油化学の構造調整、弾劾政局で適期逃さないか心配
韓国政府が一昨日、世界的な供給過剰で赤字に苦しんでいる石油化学業界の構造改革案を発表した。競争力を高めるために業界の自律的な事業再編と高付加価値転換を誘導する内容だ。石油化学の構造調整はかなり遅れた。中国・中東で石油化学設備が急増し、より安くて効率的に汎用製品を出して久しい。日本や欧州は早くから漸進的な構造調整で設備の縮小を始めた。2010年比で2023年には石油化学設備規模を日本は15%、欧州連合(EU)は9%減らした。しかし同じ期間に韓国は70%も増やした。日本・欧州は高付加価値製品を増やしたが、韓国はナフサ分解設備(NCC)などの汎用製品に集中している。業界の自律的な構造調整はそれほど成功しなかった。 石油化学は韓国の主要輸出品のうち5番目に多い主力産業だ。にもかかわらず、LG化学・ロッテケミカル・ハンファソリューション・錦湖石油化学の石油化学「ビッグ4」の今年1-9月の累積営業損失は5000億ウォン(約540億円)台にのぼる。石油化学業況の問題は一時的なものでなく構造的なものだ。グローバル供給過剰規模は昨年の4400万トンから2028年には6100万トンまで増えるという。汎用製品を減らし高付加価値製品を育成する事業の再編なしには中長期的に生存が難しい。石油化学だけでなく鉄鋼・電子・ディスプレーなど中国産の汎用製品に劣勢となっている分野は一つや二つでない。貿易協会は9月「半導体を除いて中国は韓国をすべて追いついた」と診断した。 市場自律の構造調整を支援するのを越えて政府がもう少し積極的に業界と向き合って構造調整を促す必要がある。大規模な装置産業である石油化学の特性を考慮すると、企業が自ら事業部や工場単位を売却するのは容易でない。とはいえ、政府が主導する「ビッグディール」が答えになるとも限らない。過去に政府が直接指揮したり債権団を前に出して背後から影響力を行使したりした自動車・半導体・海運ビッグディールは時間が経過するほど評価が落ちた。しかし会社ごとに利害関係がぶつかる構造調整を業界の自律に任せるのも答えにならない。事業再編の誘引策を強化すると同時に、業界の構造調整に圧力を加えて促す政府の役割が必要だ。 一部では責任を避けようとする政府の保身主義を指摘したりもする。構造調整には強力なコントロールタワーの交通整理が必要だ。弾劾政局で政府が役割を果たせるかが心配だ。開店休業状態の大統領室に代わって国務調整室が積極的に部処間の問題を調整し、構造調整を強く推進する役割が求められる。政府のどこかで誰かがやるべきことをしなければいけない。