品薄の10年366回債、金融機関の要望で減額措置を実施=日銀
Takahiko Wada [東京 3日 ロイター] - 日銀が3日に発表した11月29日時点の銘柄別国債残高によると、10年債のうち366回債の保有残高は8兆0262億円となり、同月20日時点の8兆2262億円から2000億円減少した。日銀の金融市場局は「金融機関から要望があったので減額措置を実施した」とコメントした。 減額措置は、国債を借りた金融機関が日銀への返済を免除してもらう制度。366回債は12月に先物取引の受け渡しに使われる「チーペスト(最割安)銘柄」になるが、2022年の日銀による大量買い入れで流動性が極端に少なく、市場では国債の銘柄間の価格形成にゆがみが出るのではないかとの懸念が出ている。 一部銘柄の品薄懸念に対し、日銀は10月に国債補完供給の要件緩和を当面継続すると発表。併せて、流動性改善に資すると判断すれば、原則として金融機関からの減額措置の願い出を承諾するとしていた。 366回債は10月時点で市中流通量が4000億円程度だったが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストによれば、財務省の流動性供給入札での追加発行や今回の減額措置により、9755億円まで回復したという。ただ、引き続き市中流通量が少ない状況が続いている。