五郎丸の豪レッズでの挑戦は失敗だったのか?
注目の一戦を前に、来季以降の移籍報道が重なった。かねて噂のあったフランスのトゥーロンとの契約が決定的だと報じられ、今季限りでレッズを離れることも伝えられた。実際のところは、どうなのか。それも人々が聞きたい話だろう。 激しい衝突による痛みすらもオープンにしないのが、いまのこの人の流儀である。ある取材機会で「いまはサンウルブズ戦に集中を」といった旨の言葉を発してからは、今度の件を聞かれることさえもなくなった。 もっとも、最初にトゥーロンに関する報道が出た昨年末にはこう言っていた。 「オファーをもらえるのは、どこのチームからであっても嬉しいと思います。トゥーロンだからどうこうではなく、海外からのオファーをもらえるのはありがたい。それが実現すれば喜ばしいことですね」 このゲームを受けて懸念されるのは、肩の状態か。五郎丸は、6月の日本代表ツアーのスコッドに入っている。今度はワールドカップで唯一敗れたスコットランド代表との国内2連戦もあり、正式な参加こそ流動的な五郎丸も、万全な体調での出場が待たれているのだ。だいいち、堀江や立川ら気心の知れた代表勢とのゲームは、チャンスでもある。出場機会や持ち味の発露が限られた辛苦を、細やかなコミュニケーションを図りながら思い切ってプレーできる喜びへと転化できるチャンス。 サンウルブズの山田は昨季、スーパーラグビーのフォースにいながら公式戦デビューはお預けとなった。その折に語ったのは「日本代表やパナソニック(国内所属先)の環境への捉え方をもっといいものにできたと思います。これから、(両チームの良さを)もっと注意深く吸収できるんじゃないかな」という言葉だった。直後のイングランド大会、この人はサモア代表戦で「忍者トライ」を決めるなど活躍している。 次節に試合のないレッズは、このまま1か月強の休息期間に突入する。マット・オコナーヘッドコーチ代行は、五郎丸の肩の状況を「100パーセント」と言い切っているが、それはあくまで会見中の会話の流れでのこと。43名の日本代表スコッドは5月下旬、コンディションの観点から30名程度に絞られる予定だ。 (文責・向風見也/ラグビーライター)