北新地放火殺人3年、亡くなった院長の妹は出所者の孤立防ぐ傾聴活動…「生き直し手助けしたい」
60歳代の男性とは生い立ちや離婚の話で終始し、悩みに踏み込めていない気がした。だが、男性が最後に「本当は奥さんと話したかった」と語るのを聞き、「話を聞いてくれる場所がほしかったんだな」と感じた。
11月上旬には更生支援のあり方を考える同財団主催のシンポジウムに参加し、「話を聞くことで、満たされる人がいる。そうやって支えることは誰にでもできる」と出席者に語りかけた。
来年は、月2回だった出所者への傾聴活動を毎週に増やし、刑務所にも足を運び、受刑者の話も聞く予定だ。伸子さんは「冷たくあしらわれると、人は孤立する。対話を続け、一人でも多くの人の生き直しを手助けできれば」と話している。
◆大阪・北新地クリニック放火殺人事件=2021年12月17日、大阪市北区の雑居ビル4階の心療内科「西梅田こころとからだのクリニック」にガソリンがまかれて放火され、院長や患者ら男女26人が死亡した。患者だった谷本盛雄容疑者(当時61歳)も現場から搬送後に死亡し、大阪府警は22年3月、殺人や現住建造物等放火などの容疑で書類送検し、大阪地検が容疑者死亡で不起訴とした。