古代米から「みそ製造」 福島大が商品化、来年3月に発売へ
福島大は、本県在来の古代米品種「白早生(しろわせ)」をよみがえらせ、福島県内の醸造業者らと連携して米みそを開発、商品化した。来年3月に県内で開かれるイベントで一般販売を計画、徐々に販路を拡大する方針。酒類の製造も検討するなど復活させた古代米を誘客につなげたい考え。発酵食品を観光資源に組み込んだ本県の「発酵ツーリズム」への活用も期待される。
白早生は、福島大食農学類の発酵醸造研究所が地域資源として活用しようと、昨年度に復刻栽培した。学生が付属農場の10アールの実習水田で栽培し、未来農業(福島市松川町)の協力を得て昨年秋に収穫した250キロを使った。会津天宝醸造(会津若松市)とみそ用米こうじの試作を重ね、大豆と米こうじの割合が1対1の十割白みそを完成させた。たんぱく質を豊富に含み、甘口でうまみが強いのが特徴という。
食農学類教授の松田幹所長と西尾俊亮特任講師によると、矢玉遺跡(会津若松市)出土の木簡にも記載がある白早生は奈良、平安時代から本県でも食されてきたが、コメの品種改良が進んだ明治時代以降に栽培が途絶えた。近代育種品種(良食味米)や酒造好適米(酒米)に比べてたんぱく質の含有量が多い。 赤みそも造ったが、品種名にちなんだ白みそを商品化した。松田所長は「甘口で、だしがいらないほどうまみが強い。ちょっとリッチな気分になる味」と自信をのぞかせる。今月から福島大生協食堂でみそ汁として提供されており、学生らから好評という。 福島大は地方色豊かな味わいを求める観光客をターゲットに、どぶろくや清酒の製造も検討しており、白早生の生産拡大も視野に入れる。在来稲が持つストーリー性などを押し出し、地域ならではの食文化を楽しむ旅などへの活用を進めたいという。
「発酵観光」盛り上げ
本県はみそやしょうゆなど発酵作用を利用した調味料づくりが盛んだ。県観光交流課によると、そうした伝統文化を観光資源に国内外から人を呼び込む「発酵ツーリズム」の動きが県内で活発化する。 PR動画を制作したり、豊かな発酵文化を発信するガイド「美を醸すふくしまナビゲーター」を認定して発酵文化と健康、美容との関わりを伝えたりする取り組みを進めている。
福島民友新聞