米国債利回り急上昇、グリーンスパン議長時代を彷彿-軟着陸見込む
(ブルームバーグ): 米国債が利下げ開始局面でこれほど売り込まれたのは、グリーンスパン元米連邦準備制度理事会(FRB)議長の下で異例のソフトランディング(軟着陸)を実現して以来だ。
米2年国債利回りは、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合以降、34ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇。利回りは1995年にも同様に上昇したが、当時はグリーンスパン氏を中心とする金融当局がリセッション(景気後退)を招くことなく、景気を落ち着かせることに成功した時期だ。1989年までさかのぼる過去の利下げ局面で、2年債利回りは利下げ開始後1カ月で平均15bp低下した。
ドイツ銀行の金利ストラテジスト、スティーブン・ゼン氏は利回り上昇について、景気後退リスクの確率低下を反映している。データはかなり強い内容だ。米連邦準備制度は利下げペースを落とすかもしれない」と認識を示した。
最近の利回り上昇は、底堅い米景気と好調な金融市場を背景にパウエルFRB議長が積極的に利下げに動く選択肢が制限される状況を物語る。金利スワップ市場でトレーダーが見込む2025年9月までの利下げ幅は128bpと、約1カ月前の195bpから縮小した。
今週は世界的に債券相場が下落し、投資家は米利下げペースの鈍化を織り込みつつある。年初来10月21日までの米国債のトータルリターンはプラス1.7%にとどまり、米財務省短期証券(プラス4.3%)を下回る。
米国債は22日も若干下げ、10年国債利回りは前日の11bpに続き、さらに約1bp上昇し4.2%前後となった。10年債利回りは、0.5ポイント利下げ決定前のFOMC会合初日(9月17日)には15カ月ぶり低水準の3.6%だった。
22日の取引では10年債先物のブロック取引の売りが相次ぐなど、弱気センチメントの継続が示唆された。オプション市場では、11月22日のオプション満期までに10年債利回りが約4.75%まで上昇すると見越した取引も見られた。