物価高進むのに収入増えない…「景気・賃上げ」働く人の本音は?世論調査で見えた衆院選注目点
企業の利益を上げるには「政府の強力なアシスト」が必要
「Live News α」では、大阪公立大学客員准教授の馬渕磨理子さんに話を聞いた。 堤礼実キャスター: さまざまな街の声を、馬渕さんはどのように聞きましたか。 大阪公立大学客員准教授 馬渕磨理子さん: 物価高が進んでいるのに手取り収入は増えていない。皆さん、切実ですよね。 各党の経済政策を見ると、「物価高対策」や「最低賃金の引き上げ」などを示していますが、長期的な日本の将来につながりにくい“目先の対策”も多いように感じます。今回は「賃金が上がりながら、日本経済も成長していく戦略」を考えたいと思います。 堤キャスター: 成長戦略ということですが、どんなアプローチがあるのでしょうか。 大阪公立大学客員准教授 馬渕磨理子さん: 例えば、賃上げについて考えてみましょう。 日本の従業員への賃金支払い総額は約150兆円です。この金額は、日本は30年間横ばいの状態が続いていますが、海外の多くの国では賃金が2倍程度に引き上がっています。日本も海外並みに賃金を2倍に引き上げる、つまり、賃金の支払い総額を300兆円に引き上げるには、企業の利益を2倍にしていくのが一つの方法です。ここでは企業の努力はもちろん、政府の強力なアシストが必要になります。 堤キャスター: 具体的にはどういうことが考えられますか。 大阪公立大学客員准教授 馬渕磨理子さん: 政府主導のトップ外交で海外輸出を強化して売上を引き上げるなど、グローバルで戦えるようにサポートすることです。さらには、規制改革で非効率な労働市場を流動化させるなど、目詰まりのある経済に風穴をあけることです。 そしてもう一つ欠かせないのが、中小企業の価格転嫁を進めることです。必要なのは目先のばらまきではなく、企業が成長する環境を整えることです。
“企業の稼ぎ”増やして税収増へ
堤キャスター: 財源については、いかがですか。 大阪公立大学客員准教授 馬渕磨理子さん: いま、国の税収は72兆円で過去最高です。財政健全化の目安とされているプライマリーバランスも黒字化が視野に入っています。 企業が世界で戦える環境を整えれば、法人税収は増えて、賃上げが進めば所得税収も増えます。すると、好景気による物価上昇によって消費税もまた連動して増えるわけです。 国民が求めているのは実現可能な政策です。つまり、財源を確保しながら、経済政策を前に進めることができる納得感です。政治には、成長のアクセルを強く踏み込む覚悟と行動が求められています。 堤キャスター: 投票日は10月27日で、すでに期日前投票は始まっています。日本の未来のため、なにより自分の未来のために、一票を大切に投じてください。 (「Live News α」10月21日放送分より)
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