日商、「3号被保険者」制度の廃止提言 人手不足が迫る年金改革
日本商工会議所は年金制度改革に関する提言を公表し、配偶者の会社員らに扶養され、社会保険料を支払わない「第3号被保険者」制度の廃止を初めて求めた。10~20年後の廃止に向け「早急に国民の合意を得る努力をすべき」だとしている。 「3号」の制度は専業主婦が老後に無年金になるのを防ぐため1986年に導入された。配偶者が勤める企業の従業員数に応じて年収106万円か130万円を超えずに働けば、自ら保険料を払わなくても基礎年金を受け取れる。「年収の壁」を超えないように労働時間を調整するパート労働者が多く、制度が働き控えの誘因になっている。 日商は「男女ともに働いて収入を得ることが一般化し、制度が果たしてきた役割は終焉(しゅうえん)が見通せる状況になりつつある」と指摘。国民年金に加入する「第1号被保険者」の配偶者やひとり親世帯との不公平感もあるため、「年収の壁」問題の根底にある「3号」の制度の将来的な解消が必要だとしている。
朝日新聞社