MLB審判が自殺寸前の女性を人命救助
メジャーリーグ、パイレーツ対レイズ戦の球審を務めたジョン・タンペイン審判が球場入り前に1人の女性の命を救っていたことが28日(日本時間29日)明らかになり全米を感動に包んだ。 メジャーリーグのピッツバーグパイレーツの本拠地PNCパークは、外野の後ろに大きな川が流れている。ダウンタウンと球場を結ぶのは、ロベルト・クレメンテ・ブリッジという橋である。この川で飛び降りようとしていた女性をタンペイン審判が救ったのだ。 ピッツバーグの地元紙ポストカゼッテ紙は緊迫した状況をこのように伝えている。 「メジャーリーグの審判であるジョン・タンペインは球場で緊張を解きほぐさなければいけないことがある。しかし、水曜日に起こったことは審判の緊張とは比較できないものだった。彼は午後3時ごろランニングと昼食を終えてロベルト・クレメンテ・ブリッジを歩いていたとき、女性が橋の手すりにのぼり、アレゲニー川を真下に見ている姿を見たのだ」 タンペイン審判はシカゴ出身の34歳。この日の試合では球審を努めたが、試合前に、このピッツバーグポストガゼッテ紙などの取材に応じた。 タンペイン審判は、「(女性の姿を見て)もちろん、私の注意は惹きつけられました。前を歩いていたカップルに、あの女性は何をしているのだ? とたずねましたが、知らないと答えました」とただならぬことが起こっていると察知した瞬間を振り返った。 そこで、女性のもとへ走ってかけよった。タンペイン審判が声をかけると、女性は「この方向から素晴らしい街の風景が見たかったから」と、何度か繰り返したという。 それでも不審に感じたタンペイン審判は「私は腕で女性の体を抱え、こんなことはしたくないでしょ、さあ、ここから離れましょう。昼食に行っておしゃべりしましょう」と話しかけたそうだ。 しかし、女性は「ノー・ノー。こっちのほうへ行きたいの。離して欲しい」と、川へ飛びこもうとする行為を止めなかったという。 同紙によると「タンペイン審判は橋の通行人に緊急通報の911に電話してくれるよう合図を送った。会話を続けていたが、女性はより感情的になり、彼の腕をすり抜けようと泣き叫んだ。彼は両手で女性の背中をロックしていたが、女性の足はすでに橋のエッジから離れて、女性の全ての体重がタンペインの腕にかかっていた」という。 タンペイン審判は神に祈っていたそうだ。「神様、これはよい終わりを迎えなければいけないのです。悪い終わり方ではなく、と祈っていました」という。