新酒米の開発本格化 福島県 当初予算案に4800万円計上 数年以内に「デビュー」
福島県が新年度に展開する酒造り支援事業の概要が固まった。「オールふくしまの酒づくり支援事業」として、県外産の酒米に替わる大吟醸酒向けの県オリジナル酒造好適米の品種開発を進める。全国新酒鑑評会をはじめとする国内外の鑑評会に出品する高級酒の醸造への活用を目指す。 県が2日発表した新年度当初予算案に事業費約4千800万円を盛り込んだ。最高級酒造好適米「山田錦」が全国や県内の酒蔵で広く使用されている。新品種は山田錦のような評価を受けられるような品質としたい考えだ。 既に、県農業総合センターで開発に着手しており、候補となる品種を数種類に絞っている段階だという。新年度からは、県ハイテクプラザ会津若松技術支援センターと連携し、酒米を使って実際に醸造する計画。出来上がった酒の品質を確認し改良を重ねる。数年以内の「デビュー」を目標にしている。 県酒造組合の渡部謙一会長(開当男山酒造)は「福島のコメにこだわり、酒造りをしたい。試行錯誤を繰り返しながらじっくり構えて進めてほしい」と歓迎した。地酒コーナーのある福島市のコラッセふくしま県観光物産館の桜田武館長は「原料も全て地元のコメだとストーリー性があり販売しやすい。福島の農産物のPRにもつながるはず」と期待を寄せた。
一方、2019年度に生産が始まった県オリジナル酒造好適米「福乃香(ふくのか)」の普及も進める。県によると、県内全56蔵元のうち約4割に当たる23蔵元が醸造に使用している。2026(令和8)年度までに30蔵元に増やす計画だ。