トランプ氏が求める「忠誠」-多額献金なら政権ポストや規制撤廃も
(ブルームバーグ): ドナルド・トランプ氏は忠誠を要求する。その条件に合う人材を見つけることがハワード・ルトニック氏に課せられた任務だ。
米投資銀行キャンターフィッツジェラルドの最高経営責任者(CEO)で、政権移行チームの共同議長を務めるルトニック氏は、「トランプ2.0」政権ポストの最終候補者リストを作成し、トランプ氏への極めて強い忠誠心を候補者らに求めている。ウォール街のある経営トップによると、トランプ氏の勝利を受け、多くの実力者らに最初に電話した1人がルトニック氏だった。
トランプ氏は7日、スーザン・ワイルズ氏の首席補佐官起用を発表した。
新政権に取り入ることは、資産家や業界の大物にとって常に重要だが、トランプ氏はその慣習をこれまでにない極端な形に変容させた。
アクティビスト(物言う投資家)として知られるネルソン・ペルツ氏やブラックストーンのスティーブン・シュワルツマンCEOといった共和党の大口献金者らは、2021年1月6日の連邦議会襲撃事件後にトランプ氏をいったん見限ったが、共和党の大統領候補指名争いで同氏がライバルを打ち負かすと、戻ってきた。
政治的に中立を保とうとする人々の間にも、トランプ氏の怒りを恐れる兆しが見て取れる。メタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグCEOは7月にトランプ氏を「素晴らしい」と称賛し、アマゾン・ドット・コムの共同創業者ジェフ・ベゾス氏も「決定的な勝利」にすぐに祝意を表した。
トランプ氏との付き合いが最も長く、最も多額の献金を提供してきた人々が、政権発足の過程で、閣僚や私的顧問に起用され、最も大きな影響力を持つことになろう。投資家のジョン・ポールソン氏は、次期政権で財務長官になる可能性がある人物として名前が挙がっている。トランプ氏は、資産家で実業家のイーロン・マスク氏に政府コスト削減の新たなポストを与えると述べた。
献身のかがみともいえるルトニック氏は、米国の政治権力の要ともいえる役割を任され、公式ポストへの指名もあり得る。同氏にコメントを求めたが、これまでのところ返答はない。