<独自>「年収の壁」見直し、123万円で千葉市は住民税2・7億円減収
年収103万円超で所得税が生じる「103万円の壁」の見直しを巡り、123万円に引き上げた場合、千葉市では住民税が約2億7千万円の減収になると試算したことが24日、同市への取材で分かった。国民民主党が掲げる178万円への引き上げ案に比べ、大幅に減収額は少なくなる見通しだ。 【表でみる】控除額を178万円に引き上げた場合の年収別減税額 所得税は、基礎控除48万円と給与所得者の必要経費とされる給与所得控除の最低額55万円を足した103万円を超える年収があると課税される。自民・公明両党が今月20日に決定した令和7年度与党税制改正大綱で、基礎控除と給与所得控除を10万円ずつ拡大し、7年から非課税枠を123万円に引き上げることが盛り込まれた。 控除額の引き上げは手取り増になる一方、地方税の住民税の減収にもつながる。123万円の場合、千葉市では市民約3万8千人が減税の恩恵を受けるが、市にとっては約2億7千万円の減収となる。 一方、国民民主党は手取り増を目指して178万円への引き上げを求めている。この場合、千葉市では税収の約12%に当たる約253億円の減収になることが見込まれていた。 神谷市長は11月下旬の定例会見で、近年の物価上昇などを踏まえ、年収の壁の見直しの議論については「あってしかるべき」と理解を示す一方、「実質的な歳入減少につながる。市の財政運営に影響が出ない形で、代替財源を確保してもらえるよう意見を表明していきたい」と話していた。(松崎翼)