<独占>ロッテ安田尚憲に覚醒予感「清宮、村上には負けない」
新打法の狙いは「1軍のピッチャーの真っすぐを確実にとらえる精度」である。 「1軍と2軍でボールの質がまるで違ったんです。ストレートをファウルしてしまい、変化球でやられるパターン。だから若いカウントのストレートを一発で仕留めたいんです」 昨季1軍に上がった時にエース級のボールに驚かされた。 特に楽天・岸孝之のストレートが凄かった。 「ボールがホップするなんて漫画の世界だと思っていたけれど本当にホップしたんです」 昨年10月2日には、ヤフオクドームでプロ初本塁打をマークしている。ソフトバンクの東浜巨の外角ストレートを右中間に運んだ。1-1にする価値あるアーチだったが、安田は、そのホームランに自信ではなく、教訓を覚えた。 「ボールが来て、たまたま打って飛んでいった。知らぬ間にホームランになった。説明のできないホームランでした。自分で、こうやって打ったと説明ができ、イメージがついてこない限り成長はしません」 理由のあるホームラン。求めるのは、そこである。 少しだけ右足をオープンに開いて構える打撃フォーム。打者には利き目と言われるものがあって、通常、左打者は右目だが、安田は左目。だからボールを見やすいように少し体を開く。 ダウンスイングの否定派。 「ボールは上から下に落ちる。だから軌道に合わせる必要がある。バットの軌道が長いと打てるゾーンが長くなる。ポイントで捉えるのではなく、打てるゾーンを長くと考えています」 点ではなく線で捉えるイメージか。 配球は読まない。 「プロのキャッチャーの配球は一流。見透かされているのがわかるから読みません」 ――昨季、清宮幸太郎は、カウントを追い込まれてからの対応に苦しんだ。プロで成功するためには、そこでは? 「確かに、追い込まれてから打てるのがいいバッター。でも、それは難しいんです。まずは若いカウントで、きっちりしたスイングで仕留めることだと考えています」 今季から同僚となった前日ハムのレアードは、「打てないゾーン」のあるバッターだが、失投を見逃さずに昨年も26本塁打を放っている。精度が高まるとミスをしてはならないという心理をバッテリーに抱かせ、ボールが先行するなど、打者有利に運ぶ。安田は、まず第一段階として失投を見逃さない精度を高めようとしているのだ。 井口監督は「キャンプは競争」と語る。 その最激戦区が安田の挑む三塁だ。昨年から三塁へコンバートされた勝負強い鈴木大地、そして“寿司ボーイ”レアードがいる。 「過去の実績では勝てない。キャンプ、オープン戦からアピールしていかないと。信頼はまだまだ勝ち取れていないんです。自分の持ち味は、チームに勢いを与える、活気を与える声であり、若さあるプレー。ホームランが最高で、それを求められていると思うが、それだけじゃない。状況に応じて求められるバッティングを果たすことが必要。例えば犠牲フライが必要なところでは確実に打つ。ベンチの信頼を勝ち得る選手になりたいんです」 昨秋から守備練習に時間を割く。 「秋から守備力向上に取り組んでいます。どれだけ打っても守備に信頼がないとレギュラーにはなれません。守備から信頼を得たい。レアードも加入、ライバルがたくさんいます。負けないため、弱点である守備力を上げていきたい」 勝負強さと守備力では鈴木。長打ではレアードの評価のままでは、ベンチが安田を使うメリットがない。そのことを彼自身が一番理解している。