第10回ふくしま産業賞 金賞 おのざき(福島県いわき市) 常磐もの 多様に発信
1923(大正12)年に創業した老舗の鮮魚店だ。一層の消費拡大や福島県内外からの集客を目指そうと今年4月、いわき市平の店舗を改装した体験型鮮魚店「鮮場やっちゃば平総本店」をオープンさせた。食べるだけでなく体験できる価値を新たに提供することで、魚文化の継承や県産水産物「常磐もの」の魅力発信に力を入れている。 新店舗は常磐ものを「見る」「触る」「食べる」をテーマに掲げている。一般的にわら焼きで知られ、市内平地区で受け継がれてきた「カツオの火山(ひやま)」の実演販売を毎日行っている。豪快に炎を上げてカツオを焼く様子は圧巻で、来店客の目を楽しませている。通常は魚をさばいたりする作業スペースは窓や壁で売り場とは区切られている。従業員が客と対話しながら魚の知識や魅力を伝えられるよう新店舗ではこれを取り除き、対面販売が可能な造りにした。 今後は子どもたちが魚さばきを体験できるイベント、主婦らを対象とした魚料理のワークショップの実施など構想を練っている。あまり利用されていない魚を活用した商品開発にも力を入れる考えだ。
小野崎幸雄社長(66)は「多くの人に魚を身近に感じてもらう工夫をすることで、次の世代にも魚の文化を受け継いでいきたい」と語った。 ■メモ ▽創業=1923(大正12)年 ▽社長=小野崎幸雄 ▽従業員=103人 ▽住所=いわき市平字正内町80の1 ▽電話番号=0246(23)2259