【会見全文書き起こし・前編】翁長沖縄県知事 日米安保を品格のあるものに
記者:「沖縄に米軍基地の7割が集中してるが、これでは、敵国の標的になり、再び戦争の犠牲がでるだろう。なぜ、このことが議論にならないのか」 翁長:新辺野古基地がこの候補地に挙がったときには、アメリカのジョセフ・ナイさんとか、マイク・モチヅキさんなどが、ここはもう海兵隊はそこに置かんほうがいいのではないかと。なぜかと言うと、今、中国のミサイルも大変発達してるので、万が一があるとあまりにも中国に近過ぎて、ミサイルの何発かが普天間飛行場や嘉手納飛行場にぶつかったときには、沖縄県民の生命もさることながら米軍の軍人、軍属も危ないですよと。だからグアムとハワイとかに下がって、もう1回この抑止力というものを考えてくださいというのがアメリカの考え方としても2~3年前まであったんですが、残念ながら沖縄の前知事が承認をしてしまったもんですから、それがいわゆる免罪符になってアメリカ側もだいぶそういう考え方になっております。 しかし沖縄県からすると、今、おっしゃったようにまさしく70年前にあのようにして10万人も沖縄県民が亡くなった。そして2カ年後にはサンフランシスコ講和条約で、あれだけ日本という国に尽くしたこの沖縄県をさっさと切り離して独立をしてしまった。で、残された沖縄は日本人でもない、アメリカ人でもない中で、22年間、無国籍人で私たちも過ごしてまいりました。そういったようなこと等を考えますと、いま一度、万が一があったときには沖縄はまた切り離されるのではないか。あるいはまた10万人亡くなるのではないか、こういう恐怖心を持つのは沖縄の人間としては当たり前でありまして、その件について日本政府がまったく日本の防衛という視点からしか物事を発信しない、そういったようなものの中で、沖縄の声は地元では結構あるんですが、中央のメディアではそういうことは一切無視をされておりますので、私たちからすると本土の方々にご理解を得るという「すべ」がないという、この意味での悔しさはあります。悔しさはありますが、今日このようにして皆さん方の前でお話ができました。それから、安倍さんと菅さんと、中谷防衛大臣ともお話をしましたら、今、各種のメディアの世論調査では10ポイントほど、新辺野古基地に造ってはいけないという本土の世論調査が出ております。どの新聞でもそうなっております。ですから、本土の方もやっと理解してくれたなという気持ちからすると、今日この特派員の場所でまた考えを申し上げられるのは、大変ありがたいなというふうに思っています。