「NISAとiDeCoはどっちがお得ですか?」 専門家が解く“話題の資産形成”の疑問
資産形成にとって最大の敵は「コスト」
資産形成をおこなう場合に最大の敵となるのは「コスト」です。コストとは何かというと、手数料と税金です。 一般的に投資の場合、価格が変動しますから、結果は不確実です。つまり投資の結果であるリターン(利益)をコントロールすることはできません。そして、投資において、手数料と税金という二大コストは確実にリターンに対してマイナスに作用します。だからこそ、できるだけ手数料が安く税金のかからないものを選ぶべきです。 さらに言えば、利益をコントロールすることはできませんが、コストはコントロールできます。手数料の安い商品を選んだり、税金がかからない制度を利用したりすることができるからです。 iDeCoとNISAという2つの制度は、利益に対して税金がかからないということを考えると、投資をする際にはぜひ利用すべき制度だと思います。 加えて、どちらも手数料という点でも大きなメリットがあります。iDeCoの場合は購入手数料のかかる投資信託はありませんし、NISAの場合も制度の中心となる「つみたてNISA」では購入手数料のないものばかりです。これは2024年以降も継続されます。 さらに、iDeCoにしてもつみたてNISAにしても、採用されている投資信託は、多くの場合、金融機関の店頭で販売されているものよりも信託報酬が安いという特徴があります。長期の資産形成においては、信託報酬のような累積していくコストの負担の多寡は極めて重要な要素と言っていいでしょう。
大江英樹(経済コラムニスト)