住友電工、独電力関連向けで超大型受注。現地ケーブルメーカー買収し対応
住友電工は6日、ドイツで高圧電力ケーブルの超大型案件を受注したと発表した。それに対応し同国の陸上電力ケーブルメーカーを買収する計画。同国送電事業者のアンプリオン社から対応電圧525キロボルトの高圧直流XLPEケーブルプロジェクトを受注。また別の超大型プロジェクトについて一部ケーブル供給で優先交渉契約を締結した。2件の受注総額は30億ユーロ(約5千億円)を超える見通し。優先交渉分を受注できれば2件合計で住友電工の電力ケーブル受注として過去最高量になる。10月に買収予定の独ズートカーベルからケーブルを供給する計画。 住友電工では2025年度をゴールとする3カ年中期計画でGX(グリーントランスフォーメーション)を支えるエネルギー関連の事業を成長をけん引する注力3分野の一つに位置付けている。エネルギーインフラ関連では23~25年度で1千億円の大口設備投資を行う予定で今回の取り組みはその一環。 今回同社が受注したプロジェクトはルート長が約300キロメートルで約600キロメートルのケーブルを納入予定。優先交渉契約を得たプロジェクトは住友電工交渉分がルート長が約650キロメートルで、受注を獲得すれば約2千キロメートルのケーブルを納めることになる。両案件ともに北海の各種洋上風力電源から主需要地であるドイツ南部への送電を担うもの。完工時期は33年を予定している。 対応に向けて住友電工では電線や自動車部品などの事業を展開するコングロマリットのウィルムスグループから、電力ケーブルメーカーのズートカーベル社の株式90%を取得する予定。今後同社では約9千万ユーロ(約150億円)を投じて増産投資を行うことを決めている。同社はヴュルテンベルク州マンハイム市に本社を置き、資本金は700万ユーロ(約12億円)。従業員数は約260人となっている。 住友電工で電力ケーブルの事業を管掌する白山正樹常務取締役は「アンプリオンとのパートナーシップをさらに強化しドイツの送電網建設に貢献するとともに、英国で建設中の海底電力ケーブル工場と併せて欧州での電力ケーブル事業拡大に取り組む」と話している。住友電工では英国北部で海底電力ケーブル新工場の建設を進めており洋上風力発電など再生可能エネルギー関連の需要を捕捉する考え。欧州地域での投資を活発化させている。