【高校生2人が落雷により意識不明】感電の症状・死に至るケースを医師が解説
感電の受診や治療
編集部: 感電した場合何科を受診すればよいですか? 甲斐沼先生: 形成外科や救命救急センターで診断を受けることになります。電圧の高い電流がひとの体に流れると、表面の皮膚はもちろん、内部の筋肉や心臓・血液など広い範囲に損傷が及んでしまい、重大な危険が生じます。 感電したときは、形成外科や救命救急センターで治療を受けます。 編集部: どのような治療が行われますか? 甲斐沼先生: 一過性の状態が多く、人工呼吸によって救命できる可能性があるのと同時に、併発する外傷にも留意する必要があります。受傷時の詳細なヒアリングと接地部位の確認など体の視診、意識障害やバイタルサインの確認を行いながら治療を開始します。 心電図モニターの装着・心臓マッサージやAEDの使用・人工呼吸・静脈路確保・多発外傷の応急処置・採血などが行われるのです。入院時の全身管理では、圧挫損傷に伴うショック状態に対する集中治療を行います。 心臓や血管など循環系のチェック、脳・脊髄・末梢神経障害への対処を行うのです。また急性腎不全の早期発見・併発損傷の評価と治療などを行います。 損傷範囲は皮膚だけでなく、皮下組織・筋肉・腱・血管・神経・骨に及ぶ場合があるのです。時間の経過とともに壊死範囲が広がり、デブリードマン(壊死組織の除去)や四肢切断の必要性が生じる場合もあります。 また、末梢血管の損傷による動脈瘤形成・出血・閉塞・狭窄(きょうさく)・血栓形成も生じる可能性があるため、それに対処する必要もあるのです。
感電の予防や注意
編集部: 感電を予防する方法を教えてください。 甲斐沼先生: 感電を予防するためには、常に適切な絶縁が行われていることが重要です。コードや回路の損傷に注意し、定期的な保守点検を行う必要があります。また、濡れた手で電子機器に触れると、水を介して感電の危険性が高まります。 電気機器に触れる際には、乾いた手で操作し絶縁手袋を使用することが重要です。さらに、絶縁ドライバと呼ばれる工具も利用できます。これは、絶縁性の高い樹脂でコーティングされており、感電を防ぐ役割を果たします。 絶縁が不十分な状態に備えるためには、アースを接続したり、漏電遮断器を設置したりすることも重要です。電気を事前に地面に逃がすことや、漏電を検知して電源を遮断することで、感電事故を予防できます。 編集部: コンセントを挿すときの注意点はありますか? 甲斐沼先生: 過度なタコ足配線をしないようにして、電化製品を使用する際には必ず電源を切ってプラグを抜き差しすることです。さらに、定期的に乾いた布などで電源プラグやコンセントを清掃することが重要です。 ヘアピン・針金・クリップ・チェーン・鍵・硬貨などの金属製品はコンセントの近くに置かず安全な場所に保管することが重要になります。 編集部: 最後に、読者へメッセージをお願いします。 甲斐沼先生: スマートフォン等の普及で充電器や周辺機器を使うことが大変多くなり、異常気象対策でエアコンの稼働など電気を使わない日はありません。その為、一般の家庭でも感電のリスクが高まっているといえます。 感電すると人間の体は、電流が流れやすいので電流は瞬く間に全身に流れます。普段からの電気に対する意識を高め感電を起こさないようにしましょう。万が一、感電したらすぐに形成外科や救命救急センターで診断し、早期対応を行うことが命を守る大事なことです。