「父が『パタリロ!』の大ファン」『翔んで埼玉』の片岡愛之助が明かす梨園に導いた養父とマンガを語った日
空前の「埼玉ブーム」を巻き起こした映画『翔んで埼玉』の続編、『翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~』で、関西を牛耳る冷酷無慈悲な大阪府知事・嘉祥寺(かしょうじ)晃を演じた、歌舞伎俳優の片岡愛之助さん。 作品の見どころや撮影秘話をお聞きしました。 【画像】あるシーンに忍ばせた歌舞伎のエッセンスを明かす片岡愛之助さん
父も『パタリロ!』の大ファンだった
──今作では、関西を牛耳る“ドン”として大阪府知事・嘉祥寺(かしょうじ)晃の役を演じておられます。オファーを受けた時は、どのようなお気持ちでしたか? まずは、大好きな魔夜峰央(まやみねお)先生の作品に関われるというのが嬉しかったです。 亡くなった父の片岡秀太郎が、魔夜峰央先生の代表作でもある『パタリロ! 』の大ファンだったんです。父に「これは面白い」とすすめてもらって僕も読み始め、親子ですっかり『パタリロ! 』にハマっていました。だからもちろん、前作の『翔んで埼玉』も観ていましたし、あの大好きな作品に参加できるということがとても嬉しくてありがたかったですね。 ──魔夜峰央先生の作品には、独特の世界観がありますよね。 そうですね。でも白塗りのメイクをして普段とは違う世界を演じる歌舞伎の世界とも相通じる部分がたくさんあったので、僕には親近感がありました。 ただ、主演のGACKTさん、二階堂ふみさんをはじめ、キャストのみなさんがこの上なく美しい方ばかりじゃないですか。前作に出演の京本政樹さんもこの上なく美しかったですし、ビジュアルが強烈なのにまったく違和感がなくて、歌劇団みたいだな、とは思っていたので、そんな世界に自分がなじめるのか、そこは不安でした。
吉村府知事が目を輝かせた瞬間
──今回は続編とはいえ、原作にはない映画オリジナルのストーリーです。愛之助さんが演じる「大阪府知事・嘉祥寺晃」も映画独自のキャラクターですが、どのように役作りをされたのですか? 実は僕、吉村洋文大阪府知事と仲が良くて、時々一緒に食事に行ったりすることもあるんです。今回の役が決まった時はまだ情報解禁前だったので「僕、今度大阪府知事の役やることになりました」と報告したんですけど、「そうなんですか!」と目を輝かせていたので、「絶対怒らないでくださいよ、日々研究した結果ああいう形になったので……」とお伝えしておきました。映画を観たら驚くでしょうね……(笑)。 ──吉村府知事も、「大阪府知事の役」と聞いて、まさかあそこまで破天荒な人物だとは思いませんよね。 僕もです(笑)。あの世界観は知っていましたが、僕の役は「大阪府知事役」だと聞いていましたから、作品のなかではまあ無難な役どころになるんだろうなと勝手に思っていたんです。ところが、台本を読むととんでもない発言が多いじゃないですか。「ガタガタ言うやつは、甲子園に放り込んだれ!」なんて荒ぶったセリフが出てきたりして、「Vシネじゃないよね……」と思わず台本を読み返しました(笑)。 ──衣装やメイクも強いインパクトがありました。 あの衣装は、池乃めだか師匠のトレードマークとも言える衣装を模したものなんですけど、わかりました? 監督は「衣装の柄を見たら、大阪の人はすぐわかる」とおっしゃっていましたが、僕は言われるまで気づきませんでした(笑)。 でも言われてみると確かに、オレンジにピカピカの金が入ったあの生地は、めだか師匠の衣装なんですよね。いわば、「大阪代表」ともいえる柄ですね。 メイクに関しては、僕だけすごく濃いので、最初加減がわからなくてちょっと悩みました。室内の薄暗いシーンではかっこいいんですけど、明るい屋外のシーンだと、僕だけ浮くのではないかと。最後までドキドキしていましたが、カメラテストではばっちり決まっていたので安心しました。