生成AIで作られた楽曲の権利はどうなるのか?(AIだけで作った曲を音楽配信する 第2回)
生成AIだけで作られた架空プログレッシブバンド「The Midnight Odyssey」の世界デビューから2週間余、様々な動きがありました。連載「AIだけで作った曲を音楽配信する」の第2回では、そのあたりのトピックとAI楽曲の権利の問題について触れていきます。 生成AIグラビア写真集
TBS系列のラジオ局でオンエア!
まず、最初のトピックです。The Midnight Odysseyがラジオデビューしました。地上波のラジオ放送で楽曲がオンエアされたのです。TBS系列の沖縄のラジオ局「RBCiラジオ」の「アップ!!」という朝の情報番組内のデジタル系の情報コーナーにおいて、AIが作った楽曲という括りで紹介されました。 アナウンサーやコメンテーターは、「映画音楽を彷彿とさせる壮大な曲」「FENで聴いたことがあるかのような既視感」などと、楽曲を好意的に受け止めてくれ、The Midnight Odysseyのデビューに係わった一員として、嬉しくなってしまいました。 地上波放送でオンエアされたことで、The Midnight Odysseyの楽曲権利をNexToneやJASRACに預けるための条件を満たした可能性があります。権利団体がアーティストの楽曲を管理する条件として、 ・配信:自身が運営するサイトを除く商用配信サイトにおいて、1,000回以上リクエストがされていること ・放送:NHKや民間放送(BS・CS放送を含む)のテレビ・ラジオにおいて、楽曲が利用されていること といったものがあります。 地上波ラジオで放送されたことで、おそらくこの2条件は満たしているのではないかと思います。ただ、権利者である松尾公也氏には「預けるのはお薦めしない」とアドバイスしました。 管理団体に権利を預けたら、権利者である松尾氏自身であっても、自己使用における支払い免除の届け出が必要になるなど、楽曲を気軽に扱うことができなくなります。たとえそれが架空のバンドであっても、管理の手は管理団体に委ねられることになるからです。 また、筆者は過去に経験があるのですが、ラジオにおいて楽曲が利用されたことを証明するために、番組プロデューサーの署名の入った書類を用意しなければならないなど、結構面倒な手続きが必要です。ちなみに、番組プロデューサーの逸話は筆者が十数年前に経験したことなので、現状も同様の手続きが必要なのかどうかは不明です。
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