【解説】「主婦の年金」議論始まる 「年収の壁」で“働き損”人手不足につながり…政府は“肩代わり”企業に助成検討
106万円までは稼いだ分だけ満額もらえていたわけですが、106万円以上になると、第2号になって保険料を納めなければいけなくなる分、手取りが減ります。一方で、おおむね125万円を超えると手取り収入が106万円の水準まで戻って、それ以降はまた働いた分まで収入が増えていく仕組みです。 106万~125万円のゾーンで逆転現象が起きてしまうわけです。 中には、年収が130万円、106万円以上にならないようにパートの回数や、労働時間を調整しているという実態があります。厚労省によると、こうした人たちは2割ほどいるといいます。 こうしたことから、パート労働者が多く働くスーパーマーケットや介護現場などでは、11月、12月にはシフトに入れない人が続出して、業務に影響が出ているということです。年収の壁が人手不足につながっているのです。 また、最近、時給が上がっていることから、以前よりも年収が「130万円」に達しやすくなっていて、「もっと働きたい」と悩みながらも、パートの回数をさらに減らすことにつながっているといいます。 実際、主婦の人たちはどう思っているのか、街で聞いてみました。 パート(40代) 「パートで週3くらい、いわゆる壁は越えないように調整しています。周りはみんな調整してシフト減らしたりしているので、意外にすぐ越えちゃうなというのは見てて思います。日数やら時間やら残業しないように」 専業主婦(40代) 「下の子が幼稚園に入ったので、これから自分の時間が少し持てるので、少し働いてみようかなとかは思ったりします。壁によって違うんだったら、調整とか考えますね」
■政府は“肩代わり”企業に助成検討
こうした主婦の負担について、政府は年収の壁を意識せずに働ける環境整備に取り組む方針を打ち出しました。 最低賃金の引き上げなどを促すほか、年収の壁を超えた人が負担することになる保険料を企業が肩代わりすることを促して、肩代わりをした企業には、従業員1人あたり最大50万円を助成することを検討しています。 これによって、保険料は実質、国が負担するため、働く時間を増やしたのに手取りが減ってしまうという現象はなくなるとみられます。 3年間の限定措置として実施する見込みで、こうした支援強化パッケージを政府が今月中に発表するということです。 さらに、こうした緊急支援策とは別に、第3号のあり方など含め、21日に行われた厚労省の年金部会で専門家に議論してもらい、2025年の年金制度改正にいかす方針です。 ◇ 人手不足が深刻化するなか、働きたい人が制度によって制約されることがないよう、見直しが求められています。 (2023年9月21日午後4時半ごろ放送 news every.「#みんなのギモン」より)
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