「リスキリング」の有無で転職後の年収に“140万円”の差!?どんな人が年収を上げることができるのかマイナビに聞いた
AIやロボット、ビッグデータなどで業務の刷新なども進む近年は、「リスキリング」の支援に政府も力を入れている。 【画像】リスキリング経験有無別 転職前後の平均年収額 リスキリングとは“学びなおし”を指し、変化の多い現代においては必要なスキルや知識を学習することを意味する。そんな中、マイナビが「転職動向調査2024年版(2023年実績)」を3月に発表し、リスキリングと転職の関連性にもついて言及している。 まずリスキリングに関係なく、転職で年収が上がった割合は転職者全体の39.1%。最も年収が上がったのが男性40代で、45.4%が転職で年収が増加していた。 そしてリスキリング有無別の「転職後の平均年収額」は、リスキリング経験がある人は559.3万円で、ない人は419.5万円と、139.8万円の差があった。 調査は全国の20歳~59歳の正社員の男女1500人を対象に実施。 なお、この調査で「リスキリング経験あり」とは、今後リスキリングが必要になりそうな能力について、「会社から指示を受けて研修に参加」「自主的に会社内で実施している研修に参加」「自主的に文献を読み勉強」「自主的に社外の研修講座に参加」のいずれかを選択した人を指す。リスキリング全体においては「自主的に会社内で実施している研修に参加」が最も多かったという。 今回の調査で転職後の年収の実情がわかったが、なぜ男性40代が年収増加の割合が高かったのだろうか?リスキリング経験と転職の関連性も含めてマイナビの担当者に聞いた。
需要の高い仕事へ移動しやすい市場に
――リスキリング経験の有無で転職後の年収に差が出たことをどう受け止めている? リスキリングは現代の技術革新を受け、需要の高い仕事に労働者が移動していくために推奨されているものです。 リスキリングを行った人の方が年収が高まっているということは、需要の高い仕事に労働者が移動しやすい市場になっているということですので、ポジティブに受け止めています。 また、政府はリスキリング支援を積極的に行っており、金銭的理由で資格が取れない人へのサポートや無償の講座の開設など、多面的なサポートを行っています。 ――リスキリングは転職に有利なの? 有利か不利か、というと有利だと考えます。リスキリングをすることで、社会で需要が高まっているスキルが身につくため、求人を出している企業が欲する人材になりやすいと考えられます。 ただし、リスキリングをすれば理想のキャリアを築けるわけではないことには注意が必要です。 そもそも自身が希望している仕事が競争の激しい仕事の場合は、より高度なスキルが求められるため、リスキリングの労力も大きなものとなります。 例えば、管理・事務職ですと企業の求人に対して応募数が多い傾向にあるため競争が激しい可能性があります。またITエンジニア・プログラマーは経験者が転職市場で多く動いているため、AIやビッグデータに関する高度なスキルが求められるようになるかもしれません。 自身がやりたい仕事と、社会的に需要が高い仕事が重なる分野でリスキリングを行うと、「転職に有利」という状況になりやすいのではないかと考えます。 ――転職のためリスキリングする際に意識した方がいいことは? 自身が希望している仕事と、社会で需要が高まっている仕事で重なっているものがないかを探す意識は持っていたほうが転職はスムーズになると考えられます。 例えば、厚生労働省が出している「有効求人倍率」は職種業種別に出ており、求人数と求職者数の比率を大まかに把握できます。 ――リスキリングをしていれば、未経験の分野でも年収を上げられる可能性はある? 人材不足と賃上げなどを背景に、リスキリングをしていなくても未経験の分野への転職で年収を上げられる可能性はあります。しかしリスキリング経験がある方が、年収は上がりやすい傾向です。 また、業種・職種によって年収には差があるため、年収の水準が低い業界・業種から、水準が高い業界・業種へ転職すると、未経験の分野であっても年収は上がる可能性が高いといえます。