暴力団員、減少の一方…SNSでつながるグループとの結び付き警戒 広島県警など 2023年末約320人 中国地方5団体
中国地方に拠点を置く指定暴力団5団体の2023年末時点の構成員は約320人で、前年と比べ約40人減少したことが警察庁のまとめで分かった。一方で交流サイト(SNS)などで緩やかにつながり活動する「匿名・流動型犯罪グループ」(匿流)と結び付き、メンバーを引き込んだり、資金獲得に利用したりする動きがあるとみて、広島県警などが警戒を強めている。 【グラフ】中国地方に拠点を置く指定暴力団の構成員数の推移 警察庁によると、5団体の構成員の内訳は、共政会(広島市南区)約120人▽俠道会(広島県尾道市)約60人▽池田組(岡山市北区)約60人▽浅野組(岡山県笠岡市)約50人▽合田一家(山口県下関市)約30人。前年と比べ、共政会は横ばいだったが、残る4団体は約10人ずつ減った。21年に新たに加わった池田組を除く4団体の総数は1992年の暴力団対策法施行以降で最少となった。 組員が減る背景には、官民による暴力団排除の動きがある。中国5県では2011年、事業者などに暴力団への利益供与を禁じる暴力団排除条例が施行され、各業界が暴力団との関係を絶つ取り組みを加速させた。広島県では20年4月、「みかじめ料」の授受に絡み、組員と店側双方の罰則を設けた改正県暴力団排除条例が施行された。 広島県警によると、共政会の構成員は約350人だった1992年から3分の1程度に減った。一方で一部の傘下組織が広島市内を拠点にする匿流へのリクルート活動を活発化させている。組員の高齢化や離脱が進む中、組織内の勢力を拡大し地位向上を図る狙いとみられ、今年に入り複数のメンバーが組に加入したという。 グループは「877(バナナ)」を名乗り、5月には共政会関係者とこのグループが関与したとみられる強盗事件も発生した。県警組織犯罪対策2課は「匿流が人材供給源や資金源となっている可能性がある。複雑化する資金調達の流れなど暴力団組織の実態解明を進め、取り締まりも強化する」としている。
中国新聞社