年金支給開始年齢は80歳からにすべきと小泉進次郎氏が発言? AIが誤情報を再生産【ファクトチェック】
「小泉進次郎氏が2024年9月に年金支給開始年齢は80歳からにすべきと発言した」という情報が拡散しましたが、誤りです。拡散した情報はAIが生成したもので、小泉氏の発言は年金受給開始の選択の幅を広げる内容のものでした。
検証対象
2024年12月19日、「忘れっぽい日本国民の皆様のために貼っておきます」という文言と共に、「年金支給開始年齢は80歳からにするべきだと発言していた政治家は誰ですか?」という質問に生成AIが「小泉進次郎です」と回答したという情報が拡散した。 2024年12月20日現在、この投稿は8300件以上リポストされ、表示回数は224万回を超える。投稿について「元取れるの100歳超え」「AIが社会問題解決する」というコメントの一方で「少し調べればデマ」という指摘もある。
検証過程
以前にも拡散した誤情報をAIが再生産 自民党の小泉進次郎氏が「年金支給開始年齢は80歳からにすべき」と発言したという情報は以前にも拡散している。 自民党総裁選に絡んで2024年9月、日刊ゲンダイの記事をもとにしたまとめ記事などによる情報が拡散したもので、日本ファクトチェックセンター(JFC)が検証し「不正確」と判定している(小泉進次郎氏「年金受給は80歳から」? 開始年齢の選択肢を広げる発言【ファクトチェック】)。 今回拡散した情報は、Xが提供する生成AI「Grok」に質問して回答を得たものだ。Grokが以前拡散した誤った情報に基づいて、誤情報を再生産している。また、後述するが、小泉氏が関連する発言をしたのは2018年10月で、2024年9月ではない。この点でも間違っている。
小泉氏の発言は
小泉氏は2018年10月15日の「国策研究懇談会」の講演で、以下のように発言している。 「受給開始年齢は八十歳でもいいのではないかと考えている。六十歳~八十歳までの間であれば、受給開始年齢は自分たちで決められるという考え方である」 つまり、現在75歳まで繰り下げられる受給開始年齢(講演当時は70歳まで)を80歳まで繰り下げられるように、選択肢を広げようという内容だ。年金の支給を一律で80歳からにすべき、とは発言していない。