相手は中学2年生 SNS売買「簡単に信用」 長崎の40代女性がチケット詐欺被害
コンサートやスポーツの観戦チケットを交流サイト(SNS)などで個人間で売買し、金銭をだまし取る「チケット詐欺」。長崎市の40代女性は今年5月、チケット代2万2千円をだまし取られた。「推し(の選手)に会える喜びから簡単に信用してしまった」と悔やむ。SNSでの売買は少なくなく、国民生活センターは「トラブル発生時は相談を」と呼びかけている。 女性はバスケットボール男子Bリーグ1部の長崎ヴェルカのファン。選手の様子をカメラで撮影するのが好きで、試合には足しげく通っていた。5月に京都市であった試合に行くことを決めたが、友人が持っていたチケットは2階席。「もっと近くで見たい」。Bリーグの公式サイトで探したが試合の1週間前だったこともあり、すでに完売していた。 そこで、X(旧ツイッター)の自身のアカウントで「アウェー側の席を探しています。チケットが余っている方いませんか」と投稿。すぐに「さとみ」というアカウント名からダイレクトメッセージが届いた。「1階席余ってます」 座席を聞いたところ最前席だったため女性は即決。実際にチケットが存在するか確認せずやりとりを続け、定価より2千円ほど安い1枚1万1千円で交渉成立。好きな選手に関する会話も交わした。電子チケットだったため、手続きに必要な本名とメールアドレスを伝え、指定されたスマートフォン決済サービスのIDに2枚分を送金した。 「これで試合に行ける」。楽しみに待っていたが、チケットは届かない。「さとみ」に問い合わせを試みるも、Xはブロックされていた。 翌日、警察に相談。やりとりをしていた相手は、京都に住む中学2年生の少年だった。後日、反省文とともに代金が返ってきた。 女性は「まさか自分が。なぜ詐欺だと気が付かなかったんだろう」と後悔を口にする。「自分の子どもと同じくらいの年齢の子が簡単に詐欺に手を染めるなんて」。やりきれない思いを今も抱えている。 ◆ ◆ 国民生活センターによると、チケット転売に関する相談は過去10年間では、ラグビーワールドカップが開かれた2019年度の4693件がピーク。新型コロナウイルス流行で20年度は322件まで減少したが、イベント再開に伴い増加し22年度は1690件、23年度は1661件だった。 同センターはチケット発行者の情報を確認した上で購入することや、トラブルに遭った場合は消費者ホットライン電話番号「188」に相談するように呼びかけている。 ◎長崎ヴェルカ 公式リセール利用を 長崎ヴェルカによると、SNS上の個人取引での詐欺被害に関する問い合わせは複数あっており、問題視している。 不正転売を防ぐため、2022~23シーズンからBリーグの公式リセールサービスを導入した。行けなくなった試合の電子チケットを購入金額以内の価格で出品。期限内にリセールが成立しなかったチケットは出品者に戻ってくる仕組み。 今シーズンからは、リセールサービスの利用を促進するため、行けなくなったチケットをクラブが買い取る「買取保証付きリセール」を導入。買い取り金は長崎スタジアムシティ内で利用できるキャッシュレス決済「スタPAY」で還元される。出品日によって金額が異なり、試合日の30日前であれば定価の7割で買い取る。 Bリーグとクラブのいずれも公式リセール以外での転売は禁止しており、長崎ヴェルカはSNSなどで再度注意喚起をする予定。