名スコアラーが分析! 広島の快進撃を支える黒田&新井の有形無形の力
一方、エースだった前田健太(28)がドジャースに移籍、大瀬良大地(25)まで開幕に間に合わなかったことで不安視されていた投手陣も、クオリティスタート率が、これまたリーグトップの64.52パーセントをキープするなど、打線の援護を受ける形で奮起。 特に5年目の野村祐輔(27)が12勝2敗と大ブレイク、クリス・ジョンソン(31)、黒田、ルーキーの岡田明丈(22)、野村と同じく5年目左腕の戸田隆矢(23)の5人がローテーションを守り、中継ぎ陣は、ジェイ・ジャクソン(28)、ブラディン・ヘーゲンズ(27)の新外国人コンビが支え、守護神、中崎翔太(23)へつなぐ勝利の方程式ができている。 三宅氏は、「今年は配球に大きな変化がある。シュート系のボールの会得とインサイドのうまい使い方が目立つ」と、ピッチャー陣の頑張りの秘密を分析する。 「野村がその代表だが、ツーシームをインサイドに使うようになってピッチングが明らかに変わった。ボールが先行して、苦し紛れに投げたボールを打たれる、もしくは、そこでコントロールミスをするということがなくなり、ストライクで勝負できるようになり、投球の幅が広がった。キャッチャーも、執拗にインサイドを攻めるリードをしている。間違いなく黒田の影響だろう。 聞くところによると、初球は、ホームベースを2分の1に分ける大胆な配球でいい。ひとつストライクをとると4分の1、さらに追い込むと12分の1と、細かく攻めていけばいいという考え方を、黒田が若いピッチャーに伝えたという。2分の1は内外であり、高低なんだろうけど、そういう考えを持つと力みが消え、余裕が出て球威のあるボールがいく。また内角には、黒田直伝のツーシームを使うので、さらにホームベースの使い方が広がる。選手はコーチにあれこれ言われるよりも、目の前で結果を見せるカリスマに言われる話を聞くものなのだ。2年目にして黒田のツーシームの教えがチームに浸透してきたのだろう。野村だけでなく、中崎も、そういうボールを今年は使って、投球に幅ができた」 投手陣に無形の黒田効果が見えるというのだ。ストライクゾーンで勝負するようになったせいか、昨年は1試合平均3.17個あった四死球が、今季は3.05個と減少している。 黒田と新井。2000本安打と日米通算200勝を成し遂げたベテラン2人の存在が、広島快進撃の有形無形の支えになっていることは間違いない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)