現役検事が“後輩”に防犯講話 嶺南中でキャリア講演会 南房総(千葉県)
南房総市の嶺南中学校(安田道明校長)で6日、キャリア講習会「ようこそ先輩」が開かれた。全校生徒150人と保護者が聴講。検事として働く卒業生の話に耳を傾け、検事の仕事や若者を取り巻く犯罪について学んだ。 生徒らに進路選択の視野を広げ、人生について考えてもらう授業。卒業生や地域住民などの人生の先輩を講師に迎え、学生時代や現在の仕事について話してもらっている。 今回は「若者が犯罪に巻き込まれることが社会問題になっている。ぜひ法律の専門家に話を聞きたい」という保護者の要望を受け、生徒たちの防犯意識を醸成しようと企画。同校の前身である旧和田中学校の卒業生で、千葉地方検察庁公判部の検事、小原綾乃さん(44)を講師に迎え、「若者を犯罪から守るために」をテーマに講じてもらった。 小原さんは安房高校を卒業後、中央大学法学部に進学し、4年次に司法試験に合格。司法修習中に行った取り調べで人の話を聞く難しさを感じたが、警察と協力して収集した客観的な証拠が持つ意味や、証拠同士のつながりから真実に近づいていくことに感激して、検事を志したという。 講演では、小原さんが扱ってきた刑事事件のうち、特殊詐欺や薬物事件、インターネットを通じた出会いをきっかけとした性犯罪を紹介。自分が被害者になるだけでなく、加害者になる事例に触れ、「犯罪は自分と無縁の世界で起きているわけではない。中学生にも身近なSNSなどを入り口に、すぐ近くまで迫っている」などと、若者を取り巻く犯罪の現状や身を守るために大切なことについて語った。 小原さんは「受験や就職を前に、希望が通るように努力するのは素晴らしいこと。努力できる才能がある自分を認めて誇りに思ってほしい。たとえ希望がかなわなくても、努力した経験は必ず次につながり、人生を輝かせてくれます」とメッセージを送った。 3年生の笹子里桜さんは「特殊詐欺に巻き込まれる若者がいると知り、怖いと思った。被害者にも加害者にもならないように、スマホの使い方には気を付けていきたい」と話していた。