【拉致問題】被害者家族が4年ぶりの訪米で訴えた「切迫感」…アメリカは全面支援を約束も なお見えぬ打開の糸口
「拉致問題は時間的制約のある問題である、という認識に立って、核・ミサイル・拉致という3つの問題の中で、拉致問題を切り離して優先的に解決する必要があると、アメリカに伝えたいと思い訪米した」(家族会代表・横田拓也さん) 横田拓也さんは当初、この新たな方針をアメリカ側がどう受け止めるか、不安も感じていたというが、結果的には杞憂に終わったという。 「全く心配なく訪米活動が進んでいるという実感です。一番の心配は『そんな抜け駆けの勝手な行動は…』とか、そこまで直接的に言われるかはともかく、『そういうことではないんじゃないか』と(アメリカ側に)言われたら困るなと心配していたが、そんな否定的な声もなかった」 「全ての方が異口同音にいったのは『何が出来るか』と。温かい言葉、温かい雰囲気で話してくれた。『あなた方とともに、一緒にいる。一緒に戦う』という言葉を投げかけて下さったことはとてもありがたいと思っている」(家族会代表・横田拓也さん) さらに横田さんはアメリカ側との面会の中でロシアのウクライナ侵攻にも触れ、「ロシアのウクライナへの一方的な力による現状変更が許せないのと同じように、北朝鮮が私たちに行っている、力による一方的な現状変更は許せない。だから世界が一丸になって問題を解決する必要がある」と訴えたという。
また家族会事務局長の飯塚耕一郎さんは、育ての親である飯塚繁雄さんがおととし亡くなったことに触れ、「拉致被害者と家族が死別して二度と会えないという最悪なケースが続いている。これ以上増やしてはならない、一刻も早く救いたい」と訴えた。 同席した関係者は、「横田滋さんや飯塚繁雄さんが亡くなったという話をすると、どの面会者も一様に沈痛な表情になった。時間の制約がある問題だ、ということは十分理解してもらえたと思う」と手応えを口にした。
■一方でアメリカに漂う手詰まり感
今回、一様に拉致問題解決への協力を惜しまない姿勢を示したバイデン政権の高官たち。しかし、実態として政権には「手詰まり感」が漂う状況が長く続いている。 バイデン政権は「北朝鮮との外交交渉を模索しながら、朝鮮半島の非核化を目指す」という方針を掲げているものの、北朝鮮は対話の呼びかけに全く応じず、ミサイル発射を繰り返している。