松丸亮吾と平子祐希の共通解は熱さ?“論理×感情”バディが阿吽の呼吸を築けた理由【舞台『AGASA』インタビュー】
私生活での“AGASA”的エピソード
──先ほど平子さんは、これまで謎解きをしてこなかったとおっしゃっていましたが、『AGASA』に出演したことでご自身に何か変化や影響はありますか? 平子:今まではドラマでも漫画でも小説でも、謎を解いた覚えがないんですよ。劇中の誰かが解いてくれるから俯瞰で見ていた。だけど『AGASA』に出てからは、ドラマを見ていても「なんでここで一瞬アップになったんだろう」とか「なんでカット変わったのかな」とかそういう視点で…… 松丸:“AGASA脳”になってますね! 平子:ならされたの!(笑) でも謎解きだけじゃなくて、単純な心象風景でも細やかに見るようになったと思います。角度の多さみたいなものを与えていただいたような気がします。 ──松丸さんはこの作品に関わったことで、ご自身に変化や影響はありましたか? 松丸:これまで自分が謎解きを作るときに、推理ものを使ったことがなかったんです。ひらめきで解けるような謎解きが好きだったから。というか、謎解きって誰かが解けなきゃいけないんですよ。誰かが解けて「気持ち良い~」って言いながら帰るものだと思っていた。だけど、この『AGASA』って、誰も解けない回があってもいいんですよね。謎が解けなくても盛り上がるし、満足度が高い。その発想は、謎解きクリエイターとして、悔しさすら覚えましたね。これってアリなんだって思ったし、そういうものを自分でも作りたいなって、クリエイター魂に火が付いちゃいました。 ──お二人ともすごく影響を受けていますね。 松丸:本当に「AGASA面白かった」ってよく言われるんだよな~。自分の作っている謎解きを面白かったと言ってもらえることもあるんですけど、「AGASA面白かったわ」って言われると、なぜかジェラるっていう(笑)。クリエイターとしてもいいモチベーションになりました。 ──ちなみに、松丸さんは謎解きのお店「リドラの謎解きスタジオ」も作られましたが、平子さんのように謎解きをこれまで全くやってこなかった人でも楽しめるんでしょうか? 松丸:テレビで出す謎解きって、いわゆるスナック菓子みたいな感覚で、すぐ食べれてすぐひらめきみたいな感じなんですけど、本当は謎解きってフルコースなんですよね。一番最初に簡単なのから始まって、途中に自分がその世界にいることで成立するハックっぽい感じのひらめきがあったりして、最後に全部の伏線が回収される。その怒涛のひらめきが気持ちよくて。だから映画とか、それこそ『AGASA』を見る感覚に近いんですけど、初めての人でも聞いてもわかんない、難しすぎるよって絶対ならないように作りました。気がつかなくても解説で歓声が上がるように作っているので、全然怖がらずに来てもらって大丈夫です。 ──ありがとうございます! では最後に、お二人が最近見破ったこと、もしくは誰かに見破られた秘密があれば教えてください。 平子:最近か、結婚する前ならあるんですけどね。すごいですよね、女性の第六感って(笑)。いつもよりも二言三言多いだけで見破られたり、「なんかこんな夢見た」ってバレてたり(笑)。もう10年も20年も前の話ですけど。そう考えると、この世は推理だらけです。 松丸:僕は“見破ったと思われていたけど勘違いだった”ということがあって。最近、電動歯ブラシを新しくしたんです。でも前に使っていたものを捨てるのももったいないなと思って取っていて。だから歯ブラシが2つ並んでいる状態なんです。そしたら家に遊びに来た友達が「松丸に彼女ができた」と思い込んで、みんなに流布し始めて。実際は彼女できてないのに。カードゲームで遊ぶ友達のなかには女友達もいるんですが、僕はそういう話が回っていることを知らないから普通に声をかけたら「私は行かないほうが……」って断られて。あまりにもみんなに断られるから、どうしてだろうと思って友達に聞いたら「お前、彼女いるんだから」って言われて、初めて状況を知りました。僕に彼女がいると見破ったつもりだった“AGASAなやつら”がいっぱいいて、その人たちによって辱めを受けたという。 平子:いや、これ……メディアを使って自分の身の堅さをアピールするというギミックの可能性もありますよね。 松丸:ないよ!(笑)やだやだ。 ──平子さんの推理が……。 平子:はい、AGASA脳になってます(笑)。 取材・文/小林千絵 編集/小島靖彦(Bezzy)