賃金上振れも物価上昇率は低下傾向を続ける(3月東京都区部CPI):電気・ガス代補助金終了でCPIは7月に一時的に3%に接近
電気・都市ガス料金への補助金終了で7月の全国コアCPIは前年同月比+2.9%まで一時的に上振れと予想
政府は、昨年1月に導入した電気・都市ガス料金への補助金制度、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を、今年5月使用分までで終了させるとみられる。これは、5月使用分が反映される6月全国消費者物価を前月比0.25%ポイント、6月使用分が反映される7月全国消費者物価を前月比0.25%ポイント、合計で0.49%ポイント押し上げる。 ちなみに、電気・都市ガス料金への補助金が終了すれば、2人以上世帯では、電気料金の支払いは年間17,696円(月間1,475円)、都市ガスは年間5,461円(月間455円)増加する計算だ。また、補助金終了による経済への影響を考えると、個人消費は1年間の累積効果で0.25%、GDPは0.09%それぞれ押し下げられると試算される(内閣府、短期日本経済計量モデル・2022年版に基づく)(コラム「政府の電気・ガス支援策は5月までで終了へ:ガソリン補助金は延長と対応が分かれる」、2024年3月28日)。
この措置の影響で、全国コアCPIの前年比上昇率は今年6月分以降、押し上げられる。7月のコアCPIは+2.9%と+3%近くまで上昇する見通しだ(図表)。なんとか3%に達することは回避されると見ておきたいが、3%台に乗せる可能性もあるだろう。 その後のコアCPI上昇率は再び低下傾向を辿ると見ておきたいが、2%を割り込むと見込まれる時期は、補助金終了の影響により、従来見通しの2024年年末から、2025年年央へと後ずれすると予想する。その後は、2026年年末までに1%を割り込むと見ておきたい。
木内 登英