【バレー】夢の舞台 世界に響き渡るHIKOコール ~チェコリーグ初挑戦の今村貴彦~
1セット目は25-20で先取したものの、2セット目は最大5点のリードを奪われる苦しい展開。そんな流れを変えたい場面で、監督は交代のカードを切った。 アップゾーンからベンチに走る背番号18の姿。選手交代として「IMAMURA」の名前がコールされると、会場は歓声に包まれた。待ってましたと言わんばかりの大声援だ。 交代直後のレセプションでAパスを返し、スパイクを決めると会場からは「HIKO! HIKO!(今村選手の愛称)」のコールが。特に若い女性ファンからの声援が大きく、現地サポーターからの人気を得ていることが窺えた。サーブ順がくると、パナソニック在籍時と同じように観客が手拍子で後押しする。 惜しくも2セット目は落としたが、3セット目は5-10のビハインドから2連続でスパイク得点を決めるなど随所で光る活躍を見せ、セットカウント3-1で勝利。今季最長時間の出場となり、絶対に落とせない試合でチームの勝利に貢献した。 驚いたのは試合終了後だ。 他の選手がクールダウンのストレッチを行っている中、今村の周りにだけ大きな人だかりが。サインや写真を求めるファンが殺到し、大きな輪を作っていたのだ。現地のファンやジュニアの選手の心を入団1ヵ月足らずでつかむという今村のクラドノ加入は、確かにチームに影響を及ぼしていた。 以下、インタビューに応じてくれた今村との一問一答を紹介する。
“あとに何が残るか”によって今後の選択を
――今日の試合を終えての感想は? 「まずは3ポイントを取れて、ほっとしています。開幕戦からフルセットを一度もやっていない。こうやって雰囲気が悪いなかでも3-1でちゃんと勝ったのはすごくいいこと」 ――途中交代の難しさもあった? 「常に準備はしているので、代わりに入ったら必ず何かしてやろうという思いはあります。途中交代に関しては慣れているので、そこはキャリアで勝負しようと思っています」 ――日本のVリーグと違う、環境に関してはどう感じる? 「文句を言いたいことはいっぱいありますよ。でも、やらないなら帰ってください、と言われるだけなので。僕は帰るためにクラドノに来ているわけではないので、いかなる環境でもベストを尽くします。リカバリーや食事など、全部自己管理しなくてはいけません。他の選手は試合後にお酒や炭酸ジュースを飲んでいることもありますが、そこは流されることなくやっています。これまで自分のコンディションをつくってきたものがあるので、そこに沿ってやるだけです」