熊本県産乾のりが過去最高値 1枚平均42円99銭 最高額は1枚555円 県漁連で初入札
2024年の熊本県産乾のりの初入札が10日、熊本市西区の県漁連本所であり、1枚当たりの平均単価は過去最高値の42円99銭をつけた。これまでは23年1月の入札での30円19銭が最高だったが、大きく上回った。海水温の上昇で養殖ノリの種付けが11月にずれ込んだため、出品数が減ったことに加え、品質も良く、価格が跳ね上がった。 県漁連によると、全体の9割近くを高い等級が占め、全量が完売した。1枚の最高額は555円。落札総額は9億5200万円。 県内15漁協による出荷量は約2200万枚で、前年の初入札の37%にとどまった。全国の卸・加工業者ら56社の約300人が吟味。熊本市の菓子メーカー「風雅」の塚田利郎社長は「味が濃く良いのり。今後も競争率が高まりそうだ」と話した。 有明海は全国有数のノリの産地。近年は赤潮などの影響で不作が続き、価格は上昇傾向にある。今年は種付け後の冷え込みなどから「生育は順調」と県漁連。次回12月22日の入札会の取扱量は持ち直すとみている。今季の出荷数は平年並みの8億枚を見込む。
県漁連の藤森隆美会長は「最高ののりが出品されている。海況を考慮し、種付けの時期を入念に検討したかいがあった」と述べた。木村敬知事も入札会に顔を出し、「熊本ののりを世界に広げてもらいたい」と商社に呼びかけた。 ノリ養殖は、秋に種を付けたノリ網を海に張る「秋芽網」と、いったん冷凍保存した網を冬に張る「冷凍網」の2シーズンに分かれる。県漁連は来年4月まで計10回の入札会を予定している。(馬場正広)