新型コロナ「第11波」夏休み・お盆にピークか “急速な感染拡大”に医療ひっ迫の懸念も
新型コロナウイルスの感染者の増加が続いています。厚生労働省が発表した統計によると、1定点あたりの感染者数は前週の1.39倍に増加しており、10週連続で増え続けています。この内容について、小幡医師に伺いました。 【イラスト解説】新型コロナ変異株「KP.3」の特徴・夏に“第11波”が来る理由 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
新型コロナウイルスの感染状況は?
編集部: 新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にありますが、現在の状況について教えてください。 小幡先生: 2024年7月8日~7月14日までの1週間に、全国およそ5000の医療機関から報告された新型コロナウイルスの患者数は、前週より1万5198人増えて5万5072人となりました。また、1医療機関あたりの平均患者数は11.18人で、前週の1.39倍となりました。10週連続で前週より増加しており、注意が必要な状況です。都道府県別に1定点あたりの患者数を分析すると、鹿児島県が31.75人と最も多くなっています。次に多くなったのが佐賀県で29.46人、次いで宮崎県で29.34人、沖縄県で28.57人、熊本県で26.33人となっており、45の都府県で前週より増加しています。 感染拡大の背景として指摘されるのが、オミクロン株の一系統JN.1から派生した「KP.3」の出現です。KP.3株については、東京大学医科学研究所システムウイルス学分野の研究グループがウイルス学的特性を明らかにしており、学術誌「The Lancet Infectious Diseases」で研究成果が公開されています。研究グループによると、KP.3株は親系統株であるJN.1株と比べて、自然感染やワクチン接種によって得られた中和抗体に対して高い逃避能を持つことがわかっています。また、JN.1株よりも高い実効再生産数を持つ、つまり特定の状況下において、1人の感染者が生み出す二次感染者数の平均が高いことも明らかになっています。 KP.3株がどれほど流行しているかについて、東京都の新型コロナウイルス感染症情報によると、2024年5月の時点でKP.3株が70.4%となっており、6月中旬には、KP.3株の割合は81.1%となっています。