子宮頸がん予防の「HPVワクチン知って」 安房の中学生7人が講座で呼び掛け(千葉県)
「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについて知ってもらいたい」――。そんな思いを持つ安房地域の中学3年生7人が、地域の医師と連携し、地域住民向けの公開講座を南房総市の三芳中学校で行った。子宮頸(けい)がんなどを予防するHPVワクチンの効果を伝え、同年代への定期接種などを呼び掛けた。 館山市の亀田ファミリークリニック館山の高橋慎太郎医師によると、HPVは、子宮頸がんをはじめ、肛門がんなど多くの病気に関わり、生涯で約8割の男女が感染するとされる。ワクチンは、小学校6年~高校1年相当の女性を対象に定期接種が行われている。 今回講座を行ったのは、館山市の学習塾「ランゲージ・ラボラトリー」に通う小宮悠さん(館山中)、鈴木陽斗さん(同)、石井斗馬さん(房南中)、川﨑優那さん(館山一中)、望月暁さん(館山中)、平井美結菜さん(三芳中)、石川碧乃さん(館山中)。 ワクチンの効果や安全性について知ってもらおうと地域で啓発活動をする、同クリニックの高橋医師、田代直寛医師、吉羽史織医師の出前授業を塾で受けたのをきっかけに、「今度は自分たちが正しい知識を周囲に伝えたい」という思いから、自主的に公開講座を企画した。 医師らの監修を受けながら、発表資料を作成。生徒らの探究的な学習を応援しようと、三芳中学校が会場提供で協力し、家庭教育学級と合わせて、地域住民の前で発表する機会を作った。 当日は、来場した生徒や保護者など、約40人の前で発表。スライドやパネルを使い、クイズも交えて、講座を展開した。▽ワクチンを打てば最大88%子宮頸がんを予防できる▽重い副反応が出る確率は96万人に1人と極めて低い▽定期接種を逃すと、自費の接種には約10万円かかる――ことなどをアピールし、「この機会を逃さずワクチンを打ちましょう」と呼び掛けた。
講義が終わると、来場者から「男性でも打つ人はいますか」「何歳まで打ってもいいワクチンですか」など活発な質問があり、生徒や医師が「男性でも打てる。一部の自治体では補助を出すところも」「何歳でも打てるけど、性交渉で感染するウイルスなので、その前に打つほうが効果が高い」などと回答した。 幼いころ、知り合いの女性が子宮頸がんで亡くなったこともあり、活動に参加したという石川さんは、講義を終えて「自分なりにうまく伝えられたと思う。女子も男子も、HPVワクチンがもっと気軽に打てるようになってほしい」とやり切った表情。 今年の7月に自身もワクチンを接種したという川﨑さんは「小学5年生のときにパンフレットをもらって、親と相談して、打つことにした。上の世代ではワクチンを避ける人も多いけど、もっと理解が広まってほしい」と話した。 ◇ ◇ ◇ HPVワクチンを巡っては、厚生労働省が2013年6月以降、積極的な接種の呼び掛けを中止していたが、22年4月に有効性や安全性が確認できたとして、呼び掛けを再開した。 ワクチンの接種機会を逃した女性が無料で接種を受けられる「キャッチアップ接種」について、同省は、ワクチン不足の状況を踏まえ、接種期限を条件付きで26年3月まで1年延長する方針を決めた。必要な3回接種のうち、初回接種を来年3月までに受けることが条件となる。