受刑者への暴言や指印の不正使用、刑務官7人を処分 名古屋刑務所
名古屋刑務所の刑務官が、病気で意思疎通が困難な服役中の受刑者の指印を勝手に押したり、暴言を吐いたりしたなどとして、名古屋矯正管区と同刑務所は6日、男性刑務官7人を戒告の懲戒処分や訓告などの措置とし、発表した。うち戒告処分の男性刑務官(32)を同日付で私印不正使用容疑で名古屋地検に書類送検した。 【写真】受刑者が過ごす居室の内部=2024年11月1日、愛知県みよし市の名古屋刑務所、小玉重隆撮影 発表などによると、この刑務官は2022年2月、病気で意思疎通が困難な受刑者に説明せずに、インクを指に付けさせて日課表の所定欄に押しつけ、不正に指印を使用した。 また同年1~2月には、別の23~46歳の刑務官6人は、この受刑者に暴言を吐いたり、扉をたたいたり蹴ったりするなどの不適切な行為をしたという。 白川秀史・名古屋矯正管区長は「誠に遺憾で、被害者に深くおわびする。再発防止の徹底を図り、失った信頼の回復と厳正な服務規律の保持に努める」、吉弘基成・名古屋刑務所長は「職員の指導を徹底し、不適正処遇の根絶に努める」とそれぞれコメントした。 同刑務所をめぐっては、01年に刑務官が受刑者の肛門(こうもん)部に消防用ホースで放水し死亡させる事件が発生。02年には、刑務官が受刑者2人の腹部を革手錠つきのベルトで締め付け、死傷させる事件も起きている。 また21~22年には、刑務官22人が受刑者3人に対して顔をたたくなどの暴行や不適切な言動を繰り返していたとして、法務省は翌23年、うち13人を停職などの懲戒処分とし、特別公務員暴行陵虐などの疑いで書類送検した。名古屋地検は同年、13人をいずれも不起訴処分(起訴猶予)とした。(渡辺杏果)
朝日新聞社