新たなリテールメディアが誕生、購買率が約20%アップした“縦長デジタルサイネージ”の強みとは?
「リテールメディア元年」と言われた2023年。リテールメディア事業などを展開するフェズ社とフリークアウト・ホールディングス社の合弁会社であるストアギーク社から、新たなリテールメディアサービス「ストアギークサイネージ」が2023年10月に誕生した。 店舗売上の大半を占める定番棚(定番商品が並ぶ棚)に設置するデジタルサイネージで、購入直前のタイミングで視認性が高いアプローチを目的としている。 複数の大手ドラッグストアチェーンで実施したPoC(Proof of Concept:概念実証)では、設置によって対象カテゴリにおいて10%前後、訴求商品において20%前後、購買率が上昇したという。 ストアギークサイネージの誕生背景やサービスの強み、リテールメディアのこれからを同社の代表取締役 廣瀬隆昌氏、取締役 安藤尚人氏に取材した。
既存のデジタルサイネージより、何がすごいのか
ストアギークサイネージは、小売店の定番棚に設置する縦型のデジタルサイネージを用いたリテールメディアサービスだ。販売中の商品の紹介動画を配信して該当商品を訴求する、あるいは小売店で開催中のキャンペーン動画などを流すことにより、カテゴリや店舗全体の売上向上に寄与することを目的としている。
ストアギークサイネージを開発した背景には、「既存のデジタルサイネージでは解決できていない課題がある」と安藤氏は話す。それが、次の3つだ:
1. 陳列スペースを奪う、または視認性が悪い 2. 購買直前に適したコンテンツを配信できていない 3. 効果検証ができない、または限定的
┌────────── 現状のデジタルサイネージは、店舗の入り口や通路沿いにある『エンド』と呼ばれる棚の上に置かれていることが多いのですが、来店者と接触はしても効果につながりづらいと思います。入り口は売り場から遠すぎて直接的に売上に貢献しづらいですし、エンド上は視認性が悪かったり、購買意欲を後押しするコンテンツが配信されていなかったりします(安藤氏) └──────────