八乙女光“運命的”5年ぶり舞台に喜び「お芝居はずっとやりたくて」ベートーベンにハマる
<ニッカンスポーツ・コム/芸能番記者コラム> 約5年ぶりの舞台に挑むHey!Say!JUMP八乙女光(34)をこのほど取材する機会に恵まれた。 リーディング・コンサート「ベートーヴェン-届かなかった手紙-」(12月24日から東京・日経ホール)で主演。久々の舞台出演にかける思いや、同作に挑戦するにあたり深まった「ベートーベン」への思いについて聞いた。 本格舞台への出演は19年以来約5年ぶり。22年に突発性難聴を発症し、約10カ月間活動を休止した。「お芝居はずっとやりたくて、どういうところからスタートしようかなってマネジャーとも相談していました。今回、このようなすてきな空間から始めることができてよかったです」と喜びを語った。 八乙女は04年の「3年B組金八先生」第7シリーズでドラマデビュー。当時中学生ながら、薬物中毒に苦しむ様子を生々しく演じて注目を浴びた。14年には「ダークシステム 恋の王座決定戦」でドラマ単独初主演。赤堀雅秋が作・演出を手がけた同年の舞台「殺風景」では初のストレートプレーに挑戦した。 これまでさまざまな演技の場を経験してきたが、舞台が特に好きだという。「稽古場でいろんなことを試せるのが好きです。セリフのトーンなど何度もトライできるので、その中で演出家さんと自分の中で落とし込めるような役の人格が生まれたりすると楽しいんです」。その日のコンディションや気分によって、台本を読んだときの想像の膨らみ方も違うのだという。 朗読劇を鑑賞したことはあるというが、出演するのは今回が初めて。「見ていたときは純粋に楽しんだんですけど、実際トライしてみると身ぶり手ぶりが使えなかったり、表情もある程度しか使えないんです」と説明。「そういった(表現の)武器をしまって、声とちょっとしたニュアンス、体の向きで伝えるしかない。鍛えられるなって思いますね」と笑顔を見せた。 今作ではベートベンが死後に残した3通の手紙にまつわるミステリーを、八乙女演じる弟子のフェルディナント・リースが追い求める。「出演のお話をいただいた時は運命だなって思いました。ベートーベンが難聴で苦しんでいた方というのは知っていて、僕も突発性難聴で活動を休んだ時期があったのでどこか運命的だなと」。作品に挑むにあたり、さまざまなベートーベンの楽曲を聞き込んだ。 「その時々のベートーベンの心情が、曲から想像できたりするんです。実際、すごくベートーベンにハマりました」とにっこり。「個人的に好きな曲は『田園』。ウィーン郊外を散歩しているときに生まれたそうです。長い曲で5楽章あるんですよ。楽章によって曲調が全然違かったりするんです」と熱弁。「本当に毎日散歩して、毎日違う景色を見て、その楽しみをどんどん日記のように刻んだのかなって思いました」と目を輝かせた。 初日を控え緊張感はあるというが、「それは僕がこの本を読んで感じた素晴らしさを何倍にもして皆さんに伝えたいがゆえ。この作品の魅力を皆さんに伝える役割があります」と力を込めた。「そこに対する緊張に打ち勝って、皆さんに物語の楽しさを届けたい。『ベートーベンの曲を聞こうかな』というきっかけ、入り口になれたらと思っています」と語った。 久々となる舞台を前に、胸中は作品への愛と使命感でいっぱいだ。【玉利朱音】