山尾志桜里氏「国会は死んだ」 入管法審議では反省の弁も
外国人受け入れには「覚悟が必要」
日本では、これまでいわゆる「単純労働」分野での外国人就労は原則禁止とされてきたが、今回の法改正で「特定技能」という新たな在留資格を創設して、外国人労働者の受け入れを拡大する。山尾氏は「国の形を変える大きな変化」だといい、もう少し腰を据えた議論が必要だったと語る。 「日本はすでに国際標準でいうと“移民国家”。でもそれを政治的に否定したいがために、移民国家としてあるべき政策を取ってこなかった。本当は、今回の政府からの問題提起は、この問題に真面目に取り組もうというシグナルであれば、悪いことではなかった。通常国会を中心に、半年なり1年なり、しっかり時間をかけて議論するべき事柄だった。残念なのは、あえて(期間の)短い臨時国会に(法案を)持ってきて、中身を詰めずに議論のボールを(国会に)与えないところだった」 政府・与党への批判ありきとの見られ方をされがちな野党だが、より良い政策形成のために法案のいい面と悪い面を国会で明らかにした上で、各党で国家観をぶつけ合えばよいと強調する。 「どんな政策でも、メリットもあればデメリットも必ずある。それらをリスト化するという実務的な作業は、本来(法案を)提案する側も、指摘する側も共通でできる。きちんとメリットとデメリットを共有できれば、その上で目指す社会像の違いや、自身の哲学の違いによって、どの道を選択するかはそう喧嘩にはならないはず」 一方で、今回の法案審議への自身を含めた野党の対応については、反省点があるという。「与党の急ごしらえな法案ではあったが、それにきちっと打ち返せるだけの、むしろ土俵を野党の側に持ってくるだけの準備も十分ではなかった」 さらに山尾氏は、欧州や米国などでの移民問題の現状を踏まえ、外国人の受け入れには「覚悟が必要」だと警告する。 「移民問題は生易しいものではないし、理想だけで済む問題ではない。(新制度によって日本に来る)外国人が永住していく人たちなのかも、われわれも来る人も分からずに受け入れなければならない。それぞれ覚悟がないまま、続けていったときに、どこかでこの国に分断が起きるのではないか。排除の論理が幅をきかせるようなことがあるのではないか」