「無銭飲食だろ!」「まだそんなの使ってるんすか?」カスハラ防止条例の裏で“ヤバい店員”が暴走…客が守るべき“クレームの作法”とは
東京都で全国初となるカスハラ防止条例が成立した。カスハラ客は撲滅すべきだが、一方、ヤバい店員が“守られすぎる”可能性もある。ヤバい店員による被害事例を紹介するとともに、正しいクレームの作法を考える。
暴言を吐き、舌打ちする…“ヤバい店員”が増殖中!?
10月4日。都議会の本会議にて、客からの迷惑行為などのカスタマーハラスメント、いわゆる「カスハラ」の防止条例案が全国で初めて可決された。 この条例では「何人もカスハラを行ってはならない」と規定し、来年4月に施行の見込みだという。 これがかねてから問題視されてきたカスハラの防波堤になればよいのだが、一方で「従業員を守る」という大義名分のもと“店員側”が暴走してしまうとの懸念の声も上がっている。 実際、遭遇事例を集めてみると、ヤバい“モンスター店員”は各所に存在しているようだ。特に目立ったのは、コンビニや飲食店、ケータイショップでの体験談だ。 「コンビニでの荷物の発送方法がわからず店員に聞くと、『わからないなら発送するな! 他に行けよ』と怒鳴られた」(39歳女性・通信) 「レストランで追加注文すると、店員が去り際に『お金、持ってんのかね』とこちらに聞こえるようにひと言。ニヤニヤしているのもきつかった」(43歳男性・物流) 「スマホの乗り換えキャンペーンで、今使っている機種を伝えると、『まだそんなの使ってるんすか?』と笑われた」(40歳女性・事務職) 威嚇や舌打ちも多かった。 「ラーメン屋で食後に呼吸を整えていると、『早く帰れ』とばかりに寸胴鍋をガンガン鳴らされた。おいしかったのに、最悪の思い出です」(32歳男性・不動産業) 「昼食でよく利用するコンビニに“ぶつかりおじさん”ならぬ“ぶつかり店員”がいて地獄」(42歳女性・IT)
人手不足や低賃金がモンスター店員を生み出す
傍若無人に振る舞う店員はなぜ生まれるのか。働き方改革総合研究所代表の新田龍氏は原因を解き明かす。 「モンスター店員が生まれる要因のひとつには、適性やスキルといった本人の資質だけでなく、慢性的な人手不足により、もともと素質のない人でも採用せざるを得なくなったという課題があります。 ただ、より問題視すべきは、低賃金や過酷な労働環境、カスハラが頻発する現場といった素因からストレスを抱え、サービス精神を維持することが困難になるケース。 あるいは、コストカットなどを理由に接客に必要な研修を十分に行わない雇用者側の問題もありえます。モンスター店員を増やさないためには、雇用者は店員の権利や心身をきちんと守り、客もモラルある行動をとることが大前提です」 被害事例によると、店員にあらぬ疑いをかけられたというケースも目立った。 「家族でレストランに行った際、レジで会計を済ませ店を出ると、店員から『無銭飲食だろ!』と怒鳴られた。すぐに証拠のレシートを見せると、謝罪の言葉もなく店に戻っていった」(39歳男性・事務職) 店員からセクハラを受けたという事案も少なくない。 「コンビニで深夜に立ち読みをしていたら、20代の男性店員に連絡先を渡された。『結構です』と断り、買い物を続けると、今度は後ろからハグ。びっくりしてそのまま逃げました」(34歳女性・自営業) 「カフェの帰り際に男性店員から『連絡先を教えてください!』と言われて。しぶしぶ名刺を渡すとメールが頻繁に届き、『彼氏いる?』『一人で発散するの?』と……」(28歳女性・派遣) なかには、その店の名物となっているモンスター店員も。 「ある駅のコンビニで働く中年の女性店員の態度が悪すぎ。私が眺めていた棚を彼女が整理したかったようで、ずっと後ろから睨みつけられていたことも。ネットの口コミにもその店員の不評が書いてあり、彼女の担当するレジを明らかに避けている客をよく見ます」(30歳女性・フリーター) こうしたモンスター店員に出会ったら文句の一つも言いたくなるのは当然だ。